「働いて稼ぐ」としても、報酬を株式の形で受け取り、株価の上昇を通じて富を拡大することができると「r>g」の「r」の側に立つことができるので富を拡大しやすい。職業の選択あるいは、就職の際の契約にあっては、「株式性の報酬」の権利を意識することが、所得の「資本家比率」を高める有力な方法だ。
ただし、会社というものは、かつてのマイクロソフト社やいわゆる「GAFA」と称せられるような各社のように、結果的に成長し、株価が大いに上昇する企業ばかりではない。
また、職と収入を会社に依存し、さらに資産を勤務先の会社の株式に集中することは、リスク管理の点で感心しない。単純に株式投資として考えても、1銘柄への集中投資はリスクが大きく、例えばインデックス・ファンドへの投資と比べて、金融論的な評価が大きく劣る。
一般論としては、ストックオプションをぜひとも確保して株式性の報酬を得たいが、漫然と自社株を持ち続けるのではなく、小まめにインデックス・ファンドなどの分散投資された金融商品で手数料の安いもの(高くても年率0.3%!)に切り替えて保有すべきだろう。「自分が勤めている会社は特別だ」と思い込むのは危ない。
「FIRE」か「機嫌良く働くか」
ストックオプションのような「株式性の報酬」にありつける人は、目指すことはできるとしても、現実には少数だろう(会社というものの仕組み上、誰もが大もうけできるはずがないからだ)。
【2021年4月20日15時30分追記】初出時の表記を一部修正いたします。
その場合に悩ましいのは、自分の収入をいくら投資に回すかだ。収入の多くを投資に回すと、確かに「資本家比率」を上げることはできる。例えば、5000万円資産があるサラリーマンは、資産の収益率を5%とすると、この資産から年間250万円の収入が期待できる。もし労働者としての年収が500万円なら全収入は750万円となり、この人の「資本家比率」は約33%だ。
5000万円では、資産の収益だけで働かなくても暮らせる、いわゆる「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)にはまだ足りないかもしれないが、立派な資産だ。
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