「ゴーゴーカレー」が居酒屋で提供される事情 「プチFC」はコロナ禍飲食店の救世主となるか

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「名古屋駅界隈はテレワークも多く、売り上げは1日約4万円ほどです。まだまだこれからという状況ですが、系列の居酒屋『やぶ屋』の数店舗でご飯もののメニューとして金沢カレーを提供しています」(横瀬さん)

一時期、名古屋市内には「チャンピオンカレー」など金沢カレーのチェーンがFC展開していたが、このコロナ禍でほとんどが撤退した。現在、市内中心部では「カレーのやぶや」のみとなった。金沢カレーは定期的に食べたくなる中毒性があるので、新型コロナの感染拡大がもう少し抑えられたら、きっとチャンスも広がると思う。

通常のFCとは異なる「派出所」とは?

愛知県名古屋市内と一宮市内で居酒屋などを運営するマリーエンターダイニングは、昨年7月末に大規模なリニューアルを図った。

旗艦店である居酒屋「花かるた」が入るビルは、JR名古屋駅新幹線口から徒歩1分という好立地。結婚式の二次会で利用する客も多く、専用のパーティースペースもあった。が、コロナ禍で需要がなくなったため閉鎖してタイ料理店を開いた。さらに、1階のデッドスペースに鉄板焼と串焼きの「小○(ちびまる)商店」をオープンさせた。

「もともと『花かるた』では昼も営業していました。『小○商店』でもランチをやろうということになり、『花かるた』で人気の丼ものを出そうと思いましたが、スタッフの人員とオペレーションの問題で断念したんです」と、話すのはマリーエンターダイニングの専務取締役、小川晋平さんだ。

マリーエンターダイニングの小川晋平専務取締役。店内は、一人で訪れる客が多いため、昼間は全席カウンター席にレイアウトを変更している(筆者撮影)

10月頃までは店頭でテイクアウトのお弁当を販売していた。20食限定だったこともあって、ほとんど売り上げにつながらなかったものの、GoToトラベルやイートで客足も徐々に戻りつつあった。ところが、12月となり、新型コロナの感染が拡大すると客足はぱったりと途絶えた。「小○商店」のランチが喫緊の課題となった。

「メニューをどうしようかといろいろ考えていたときに『ばんからラーメン』に“派出所”というシステムがあることを知りました。弊社はタイ・バンコクにも出店していて、現地で『ばんからラーメン』を何度か食べたことがあったのです」(小川さん)

実は筆者も4、5年ほど前にタイへ行ったときに、「ばんからラーメン」の名は聞いていた。日本の飲食店が数多く建ち並ぶバンコク・スクンビットの街を歩いていると、多くの警察官が現れて道路が封鎖され、物々しい雰囲気となった。

後から聞いた話では、タイの王族がスクンビットにある「東京豚骨拉麺 ばんから」に訪れたのだという。タイの王族も通うラーメンに興味を持った記憶が今も鮮明に残っている。

「旭川味噌ラーメン ばんから 名古屋派出所」外観(筆者撮影)

「ばんからラーメン」は、1998年、池袋に1号店となる「東京豚骨拉麺 ばんから」をオープン。2004年からFC加盟店を募集し、現在では国内に29店舗、海外に9店舗展開している。FC店とはまた別の派出所とはいったいどんなものなのか。

「新型コロナの影響で売り上げが減少している飲食店をラーメンの力で元気にしようと、昨年11月から派出所のシステムを開始しました。夜のみ営業している飲食店のランチタイムや昼と夜の間のアイドルタイムなどスキマ時間を活用して、弊社のラーメンを提供して収益化していただくというものです」と、話すのは、「ばんからラーメン」を運営する花研の企画広報室長、堀内勝章さんだ。

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