「ゴーゴーカレー」が居酒屋で提供される事情 「プチFC」はコロナ禍飲食店の救世主となるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

宮森社長の提案に横瀬さんが諸手を挙げて賛成したのは、前に書いたとおり、加盟金やロイヤルティーが一切不要の超低コストであることにほかならない。

やぶやグループ横瀬武夫社長(筆者撮影)

厳密に言えば、初期投資として30万円でトッピングのロースカツなど揚げ物を調理するフライヤーやカレーを保温するウォーマー、炊飯器、ステンレス皿を購入しなければならない。

が、既存の設備があればステンレス皿だけでOK。さらに、お米やトッピング用の揚げ物も取り寄せることができるが、店で用意できるのであれば仕入れはルーのみ。

オリジナルメニューの開発も可能

「実店舗を出店するとコストがかかるうえに人材も育成せねばなりません。2019年以前よりFC業態とは違う形で金沢カレーを広める販路開拓を考えていたことや2020年コロナ渦で苦境に立たされたお店への支援をカレーで実現できないかと考えていました。もともと弊社のカレーを扱いたいという声も数多く寄せられていたこともあり、業種や業態を問わずカレーを提供することにしました。今では居酒屋のほか、カラオケのフードメニューやホテルの朝食など約800店舗を超え(3月末現在)中長期的には1000以上の店舗展開を予定しています」(ゴーゴーカレーグループ広報)とか。

あまりにも低コストで開業できるため、既存のFC店との不公平感が出てしまうが、そこもしっかりと工夫されている。プロデュース店舗に提供されるのは、金沢カレーを代表する店の1つとして知られる昭和46年創業の「ターバンカレー」のカレーだという。

「ターバンカレー」は、宮森社長の修業先であり、経営者の高齢化と後継者不足で長期的な事業継続が難しい状況だった。そんな中、2019年に「師匠の店を残したい」と、宮森社長が吸収合併し、グループ店となっていたのだ。プロデュース店舗への提供は、金沢で長く愛されてきた味を多くの人に届けたいという宮森社長の思いでもあった。

「両社とも同じ金沢カレーなので味は似ているように感じますが、使用するスパイスの種類や調理法などが異なります」(ゴーゴーカレーグループ広報)

ピリ辛のミンチをトッピングした「台湾カレー」(筆者撮影)

「カレーのやぶや」で提供している金沢カレーは、定番の「ロースカツカレー」をはじめ、全9種類。面白いのは、ゴーゴーカレーにもターバンカレーにも存在しない「台湾カレー」なるメニュー。

名古屋名物の台湾ラーメンに用いるニンニクと唐辛子で味付けしたピリ辛のミンチをトッピングした、いわば名古屋と金沢のコラボカレーである。このようなオリジナルメニューの開発は、通常のFCの場合はご法度だが、プロデュース店舗はOK。この自由度の高さも魅力だ。

次ページコロナ禍でほとんどの金沢カレー店が撤退したが…
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事