「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情 「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす現状

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「心理学の世界に、“社会的結末を共有する”という考え方があります。遅刻を続ければ、いずれ保護者が先生に呼び出されて、子どもと一緒にしかられる。ところが、多くの親がそれを面倒くさがり嫌がるわけです。つまり、社会的結末を共有したがらない。ですが、それをやってあげることこそが親の愛情なのです」

診察では「先生の言いたこともわかるが、そもそも痛い目を見る前に行動を変えられる子どもにしたい」と補説する保護者もいるという。

「社会的結末を共有すれば、子どもは考えるきっかけを得ることができます。しかし、その共有もせずに親の言いつけを守らせたい気持ちは『親のコントロール願望』」と言えます。また、言われたことをむやみに実行する子どもは、将来、人から簡単に騙されかねないのです。子どもは子どものうちにたくさんの失敗をすることで、自分の頭で考える大切さを学び、人を見る目を養うのです」

特に大事なのは「良好な夫婦関係」

尊敬や信頼は、社会的結末を共有する際にも効果を発揮する。

「親子で先生に呼び出された際に、先に謝るのは子どもではなく保護者である場合が多いでしょう。なぜなら呼び出されて困るのは、子どもではなく親なわけですから。ただし、そうした場面でも子どもからの尊敬や信頼が強ければ強いほど、『親に迷惑がかかるから、同じ失敗は避けよう』と子どもは考えるのです。

最後に、私は夫婦そろって受診にいらしたケースでは、決まって良好な夫婦関係の再構築をお願いしています。言うまでもなく、子どもにとって両親はどちらも大切な存在です。そして、子どもはそんな二人が仲睦まじく生活する姿を通して、両親への尊敬や信頼を深めるからです」

コロナによって社会の様式やルールが刷新された。保護者自身、子どもとの向き合い方をバージョンアップする局面を迎えている。

山下 悠毅(やました・ゆうき)

精神科医、ライフサポートクリニック院長、極真会館東京城北支部指導員。専門は依存症治療、うつ病やパーソナリティ障害のカウンセリング。著書に『いい子をやめれば幸せになれる』(弘文堂)『うつの捨て方』(弘文堂)など。

我妻 弘崇 フリーライター

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あづま ひろたか / Hirotaka Aduma

1980年北海道帯広市生まれ。東京都目黒区で育つ。日本大学文理学部国文学科在学中に、東京NSC5期生として芸人活動を開始する。2年間の芸人活動ののち大学を中退し、いくつかの編集プロダクションを経てフリーライターとなる。現在は、雑誌・WEB媒体等で幅広い執筆活動を展開している。著書に『お金のミライは僕たちが決める』『週末バックパッカー ビジネス力を鍛える弾丸海外旅行のすすめ』(ともに星海社)など。

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