「怒りっぽい子ども」が増加している悲しい事情 「義務教育を放棄する中学生」まで現れだす現状

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ライフサポートクリニックへ親とともに来院したある男子中学生は、「義務教育というのは子どもが学校へ行く義務ではなくて、親が子どもに教育を受けさせる義務であって、子どもの義務ではない」といった正論を展開したそうだ。感心してしまうほどの頭の良さ。だが、もし親である自分が言われたらと思うと頭が痛い。言い返す言葉がない……。

大事なのは「親としての器」

「『社会で生きていくことは大変。お父さんもお母さんも、必死で仕事を頑張っている。だからお前も学校へ行け』なんてことを言いたくなる気持ちは、もちろんわかります。しかし、子どもにしてみたら『そんな人生がつらそうな親のアドバイスを聞いたなら、自分も将来、同じ目に遭いかねない』と意識下で感じ取るため逆効果です。

そうではなく繰り返しになりますが、人を導びくには、相手からの信頼や尊敬が不可欠。『ゲームの時間を守らせたいなら、親も帰宅したらスマホをいじらない』『家で勉強させたいなら、まずは親が読書や勉強をする』『早く寝かせたいなら、親も一緒に早く寝る』というように説得力をともなわなければいけません。もちろん、『子どもと親は別』もその通りです。しかし、私たちだって『遅刻するな』と口うるさい社長がいつも遅刻していたら、『社員と社長は別』であることを知っていながらも、その社長を信頼や尊敬することは困難なわけです」

経済力や職業といったスペックが大事なのではない。大切なのは、親としての器をどう作り上げていくかということ。

そして、言葉で説明する際は、抽象的な説明は避けることも控えたほうがいいとも。例えば、「遅刻はよくない」ことを伝える際も、「ダメなものはダメ」ではなく、なぜ遅刻がいけないのかを具体的に伝えなければ信頼を得ることは難しいとも。たしかに成人すれば、遅刻=デメリットだとイヤでもわかる。しかし、子どもの時分では、せいぜい先生から注意される程度。子どもには理解できないだろうから、親自身が想像力を働かせて、伝えることが肝要となる。

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