コマツが「隠れたドル箱」の改革急ぐ切実な事情

建機に次ぐ稼ぎ頭の鉱山機械で進む戦略転換

理由の1つが、足元における石炭向け鉱山機械の稼働率低下だ。IEA(国際エネルギー機関)によると、2020年の石炭需要は世界で5%程度落ち込んだとみられる。コロナによる電力需要の低下だけでなく、天然ガスの供給過多による価格低迷による石炭の価格優位性が小さくなったためだ。2021年には微回復を見込むが、石炭の需要低迷が続けば、高採算の交換用部品の需要減少や、機械自体の買い換え時期の遅れにつながる。

2つ目の理由は、二酸化炭素の排出量を吸収量と均衡させるカーボンニュートラルの考え方が先進国を中心に広がり、長期的な石炭向け鉱山機械の需要が減少トレンドにあることだ。欧米などにおける発電は、早々に石炭から再生可能エネルギーなどへ切り替えが進んでいる。欧米の一部銀行では新規の石炭鉱山や石炭火力発電施設などへの融資が禁止され、ドイツは2038年までに石炭による火力発電を廃止すると決定した。

今後もドル箱の縮小を続けるが…

新興国では当面は石炭需要の増加が続くと予測されている。それでも、ブルームバーグNEFが2020年10月に発表したレポートによると中国で2027年、インドでは2030年に石炭火力発電の発電量がピークアウトするという。新興国での石炭需要増もそう長くは続かないというのが現実だ。そうなれば、石炭向け鉱山機械の需要も先細る。

コマツの小川啓之社長は「今後も稼働率の悪いコンポーネント工場について構造改革を進める」と表明。こうした石炭向け鉱山機械を中心とした生産体制の再編を中心に、コロナ感染が収束し需要が正常化したレベルと比較して、固定費を2022年度までに170億円、2024年度までに210億円削減する。

コマツは2022年3月期を最終年度とする中期経営計画で「業界トップレベルの利益率」という目標を掲げたにもかかわらず、今2021年3月期の営業利益率は計画開始時点(2019年3月期)の14.6%から半分以下となる6.3%に沈む見通し。中期的な収益力の復活には、石炭向け鉱山機械の事業規模を縮小するだけでなく、新たなドル箱事業の創出も不可欠だ。

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