解散か否か、「コロナ置き去り」の永田町狂想曲 政治日程上、解散時期の選択肢は限られている
4月16日に訪米してバイデン大統領と初の首脳会談に臨む菅首相は、6日の民放番組で「初の対面での会談で互いの信頼関係をつくることが重要」と語った。ただ、対中国戦略も含め、会談が画期的な成果を上げられるかは不透明だ。
加えて、菅首相の肝いり政策のデジタル庁関連法案の成立は、政府・自民党の当初の目論見が狂い、連休前どころか5月中旬以降にずれ込みそうだ。同法案は6日に衆院を通過したが、参院の与野党協議で審議入りは14日となった。衆院での約30時間並みの審議時間を消化するには「1カ月以上かかる」(参院自民国対)とみられる。
念頭にある都議選との同日選
自民党幹部は「衆参国対幹部の連携不足」と憤るが、自民党参院側には、政府がまん延防止等重点措置の適用を連休最終日の5月5日までと決めた段階で、「5月の衆院選はなくなった」との判断があったとみられる。
そこで注目されるのが、今国会での野党の内閣不信任案提出の有無と、出す場合のタイミングだ。放送法改正案など重要法案の審議見通しなどを踏まえると、国会日程上は野党の不信任案提出が6月16日の会期末直前となる可能性が大きい。
もちろん、それまでにコロナの感染爆発による第4波が現実となって、政府が3度目の緊急事態宣言を余儀なくされれば、その段階の不信任案提出はありうる。ただ、その場合は「解散を打てる状況ではない」(自民長老)のは当然だ。
となれば、法案処理が決着する会期末に合わせた不信任案提出と、これを大義名分とした菅首相の解散断行が現実味を帯びる。二階氏は「不信任案が出た段階で即解散」と発言したが、7月4日投開票の東京都議選との同日選が念頭にあるのは間違いない。
ただ、「日程的にはかなり困難」(自民国対)だ。公職選挙法を踏まえると、「解散から衆院選投開票日まで22日間以上が必要」(総務省)とされ、解散が6月16日かその直前となれば、投票日は都議選投開票の1週間後の7月11日にせざるをえない。
ところが、7月11日の衆院選投開票となれば、手続き上から特別国会召集は同月20日以降となり、自民党が勝った場合でも首相指名・組閣が東京五輪開幕の23日に近接しかねない。現在の閣僚を全員再任しても、五輪主催国として「開幕直前まで職務執行内閣で対応するのは国際儀礼上もありえない」(五輪組織委幹部)との指摘が多い。
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