解散か否か、「コロナ置き去り」の永田町狂想曲

政治日程上、解散時期の選択肢は限られている

こうしてみると、「現状では東京五輪を開催する限り、菅首相の解散の選択肢は五輪後しかない」(有力閣僚)ことになる。その場合、自民党総裁選と衆院解散の順番が最大の問題となる。

菅首相は解散時期に絡めて3月には「9月までの総裁任期」に言及し、さらに4月6日には「総裁選前の解散」に踏み込んだ。これを受け、自民党内には「9月5日の東京五輪・パラリンピック閉幕直後の解散、10月3日投開票を狙っている」(岸田派幹部)との見方が広がった。

ただ、そのためには総裁任期満了の9月30日までに実施するよう党則などで定められている自民党総裁選を、1カ月程度延長することが必要だ。3年ごとに行われる総裁選は、2020年9月の総裁選とは違って党員・党友も参加する本格総裁選とするよう規定されている。

コロナ次第で菅首相「五輪花道論」も

今回も有権者となる党員・党友の資格審査などの手続きのため、7月末までに総裁選日程を決めることが必要だ。さらに総裁選の規程上、告示から投開票日まで12日間以上の選挙期間が必要で、通常は9月上旬告示、20日前後の投開票を想定している。

もちろん、衆院任期満了と絡むことを理由に、「状況次第で1カ月程度の総裁任期延長」を確認しておけば、菅首相サイドが狙う「五輪閉幕直後の解散で勝利して、総裁選は無投票再選」(側近)とのシナリオも実現できる。

ただ、7月の総裁選管理委で総裁選日程を決めれば、党内でそれに向けた有力候補らの出馬の動きが本格化することは確実だ。それと並行して、コロナ禍や東京五輪開催の状況次第では菅首相の「五輪花道論」が浮上し、総裁選先行論が拡大して菅首相の解散への手足が縛られる可能性もある。

こうしてみると、菅首相らの解散発言は「党内や野党に対する恫喝のための言葉の遊び」(自民長老)ともみえる。最新の世論調査でも五輪前解散を支持する声は極めて少数で、圧倒的多数が任期満了近くの衆院選を求めている。

「コロナ禍は第3次世界大戦」(安倍晋三前首相)という非常時に、菅首相ら自民党最高幹部が政局優先で解散発言をもてあそぶ。そのこと自体が「国民無視」(首相経験者)と批判されても仕方がない。

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