SNSを通じた「情報商材トラブル」が急増のワケ クーリングオフがなくても諦める必要はない

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SNSそれ自体に問題があるわけではないが、SNSの「簡単に不特定多数とコミュニケーションをとることができる」という特徴は、インターネットの「真実の姿を見せずに情報提供できる」という特徴とあいまって、あまり価値のない情報商材を高額で売却しようとする者にとって都合がよい。

例えば、SNS上では本名や真実の経歴を明かさず豪華な生活をしているように見せかけることも可能だが、そのような情報を見た側は、その人が、本当に裕福でありその裕福な生活をするためのノウハウを持っている人物だと信用しやすくなる。

また、SNS上の自分の投稿に対して「いいね!」やリプライを何度ももらい、その相手とコミュニケーションを繰り返すうち、その相手の素性を知らず会ったことがなくても親近感や信頼感を抱きやすくなる。クラブハウスのルームでも、ルームに入っている複数の人がグルになってそのルーム内の特定の人物を褒め続けた場合には、そのルームのやり取りを聞いた人は、本人でなく第三者が高評価をして褒めているのだから大丈夫、と信用しやすくなるだろう。

法律的に整理するとどうなる?

情報商材の宣伝でよくある、必ず月100万円以上儲かるといった表示や本当はこの商材は100万円だが先着10名に限り30万円といった表示は景品表示法違反の可能性が高いが、今回は、情報商材の売買の申し込みの撤回や売買契約の解除にスポットを当てて整理してみよう。

最初の接触や誘導がSNSであっても、情報商材の売買契約をどのように結んだかによって類型が変わってくる。販売業者が雑誌やインターネット等で販売条件を広告し、買う側からインターネットや電話で購入の申し込みを受ける場合は特定商取引法の「通信販売」となる。

販売業者が電話で勧誘し、その結果買う側から申し込みを受けて契約する場合は特定商取引法の「電話勧誘販売」となる。販売業者が買う側の自宅、カフェ、ホテルなどで買う側と会い、販売業者の営業所以外の場所で買う側から申し込みを受けて契約する場合は特定商取引法の「訪問販売」となる。

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