アサヒが「ビール風味の低アル飲料」に託す使命

オリオンビールも若者向けの市場開拓を狙う

沖縄のビールメーカー、オリオンビールも低アルコール飲料の開発に注力している。沖縄県はアルコール依存患者が多く、飲酒率も高い。そのため、同社は適正飲酒の取り組みに積極的だ。2019年末には売れ筋商品であったアルコール度数9%の缶チューハイの販売中止に踏み切った。

低アルコール飲料「DOSEE」(写真:オリオンビール提供)

同社が3月23日に発売したのが、フルーツの香りや味が楽しめる低アルコール飲料の「DOSEE(ドゥーシー)」。商品名は沖縄の方言で「友達」を意味し、アルコール度数は2%、糖類ゼロという特徴を持つ。

容量は250mlと少ないが、値段は350mlのビールと同じ200円前後。原料に沖縄県産の月桃などを用いていることもあるが、「価格を高めに設定することで飲み過ぎを抑制する狙いがある」と、オリオンビール執行役員兼R&D部長の石井芳典氏は説明する。

利益の確保と社会的責任を両立させる

またアメリカの若者層の間で、アルコール度数や糖質の低い炭酸飲料「ハードセルツァー」がはやっていることも、同商品投入の背景にある。石井氏は「ビールは苦いので苦手という若者が増えている。日本でも低アルコールかつ、糖質の低い商品を(アルコールへの)入り口にしてもらえたら」と期待を込める。

一方で、低アルコール飲料に関心があるのは、若者だけではない。酒類業界に詳しい酒文化研究所の山田聡昭氏は、「若者だけでなく、飲酒をコントロールしようとする人、または飲まないというスタイルが増えているのは確かだ」と話す。「男はお酒を飲むもの」というような一昔前のジェンダー観が変化し、男女問わず飲み方が多様になってきたとも指摘する。

企業として利益を確保しつつ、消費者の健康を考慮することで社会的責任も果たす――。酒類メーカーは今、相反するような課題を同時に成立させることが求められている。

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