トヨタの会議が「30分で終わる」超合理的な理由 少しの差を積み上げ最終的に大きな時間を作る

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たとえば、トヨタの私がいた部署では、「会議は30分!」と口を酸っぱくして言われていました。

日本の会社では、会議や打ち合わせの所要時間として「1時間」を設定する場合が多いと思います。しかし実際には、ほとんどの会議は30分で終わらせることが可能です。

最初から会議の所要時間を1時間と設定してしまうと、参加者は当然、その会議は1時間かかるものと思ってやってきます。本来なら30分で終わらせられる内容であっても、わざわざ1時間かけて会議をすることになるのです。これでは、後半の30分が無駄。

30分あれば、新幹線なら名古屋から京都まで行けてしまいます。企画書なら2、3枚は書けるでしょうし、対外的なちょっとフォーマルなメールを1通書くこともできます。それだけの時間を会議のたびに無駄にしていたら、年間ではすさまじい量の時間の浪費につながるでしょう。

たとえば管理職クラスのビジネスパーソンならば、1日に会議や打ち合わせが2~3回あることは珍しくないはず。年間の平日はおよそ240日なので、うち120日は1日2回、もう120日は1日3回の会議や打ち合わせがあると仮定すると、年間600回となります。

30分×600回=300時間なので、毎回の会議で30分を無駄にするかしないかで、1年あたりおおよそ300時間もの差が出てくることになります。1日8時間労働と仮定すれば37.5日分、つまりおよそ2ヶ月間の平日に相当する分、労働時間を圧縮することにもつながるのです。

会議や打ち合わせの基本設定を1時間から30分に変えるだけで、年間の6分の1の労働時間を別の仕事に充てられるようになります。ここに意識を向けないのは本当にもったいないですし、知ったうえで放置していたとしたら、まさに「生産性の低い給与泥棒」になってしまうでしょう。

延長も30分までで、予定がかぶらないよう設定する

こうした事態を避けるためか、トヨタでは特別な場合を除いて、会議や打ち合わせは原則として30分で設定するよう口うるさく指導されていました。

このように設定すると、時間が限られているという意識が参加者全員に共有されるため、余計な世間話などしていられません。会議が始まるやいなや、すぐに議題の確認と本質的な議論へと移ります。

とはいえ、議論が白熱すれば30分では時間が足りなくなることもあります。その場合には、必要な分数だけ延長することもよくありました。ただしそれも30分までで、それ以上に時間がかかりそうなときには、別の会議を設定する、という形で運用されていました。

この延長時間を確保するため、会議の予定は立て続けには入れず、最低30分はあいだを空けて入れるようにも指示されていました。

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