「日本のヒーロー」には普遍的な魅力がある 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ダグ・リーマン監督に聞く

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大坂でのPRイベント

トムのファンへの気持ちは恋愛感情に近い

――今回の3都市縦断ツアーもそうですが、トム・クルーズのハードワーカーぶりには毎回、驚かされます。トム・クルーズと一緒に仕事をするというのはどういうことなのでしょうか?

トム・クルーズと仕事をするということは、みんながトップレベルで仕事をしなくてはいけないということだ。彼の信条は「時は金なり」。たとえば撮影初日、現場には8時に来てくれと言っていたんだが、彼は7時45分に来る。みんなより15分前には来ていたわけ。だから次の日は7時45分集合にした。すると彼は7時半に来ている(笑)。

――それはつまり、皆より早く来るのが信条だと?

彼は「絶対に監督を待たせない」と言うんだ。それだけ映画に身をささげているわけだ。とにかく彼は映画が大好きなんだ。スタッフのことも大好きだし、その制作過程も楽しみにしている。それから完成した映画を見せるのも好きだし、映画を楽しみにしてくれるファンのことも大好きなんだ。だからこそ、この映画のレッドカーペットイベントでは、映画の上映が終わってからイベントを開催したわけだ。トムはとにかく来ているファン全員と握手をするわけだから、それだけ時間がかかるわけだよね。そうしないときっと、映画を上映するのが真夜中になってしまうよ(笑)。

――よくトムさんのレッドカーペットイベントを取材していると、1時間以上待っていてもファンサービスが一向に終わる気配がない、ということがしばしばあります。

 トムがファンに感じる思いというものはある種、恋愛感情に近いものがあるからね。トムは本当にファンが大好きなんだ。そしてそれは映画作りに関しても同じことなんだ。彼は初めから日本のファンの目を意識していた。日本語の字幕の入れ方についても、関係者に「これはどのタイミングで字幕が登場するの?」と質問したりしていた。たとえばここで字幕を読んでしまうと、肝心の画面を見なくなってしまう。それは脚本を直している段階から、そういうことを意識していたんだ。

――ダグさん自身の仕事のポリシーは?

 僕に期待をして、投資をしてくれた映画会社、そして観客に対して責任を持つことかな。とにかく自分が培った技術や経験を惜しみもなく注ぎ込んで映画を作る。映画監督はグリーンライト(企画のゴーサイン)が出たら大喜びをすることが多いわけだけど、僕自身はそこでは喜ばない。それは映画がすべて完成したときに取っておこうと思っているからなんだ。それが僕の信条だと言えるね。独創的で娯楽的、知的であり、それでいてかつ面白いもの。そういった作品ができたら最高だね。

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