リンガーハット「冷凍ちゃんぽんで挽回」の事情 既存店の客数激減で迫られる収益の多角化
現在、外販している冷凍食品は長崎ちゃんぽんと皿うどん、餃子、炒飯の4メニューだ。首都圏や九州での販売が多く、40~60代がリピーター客になっている。2013年ごろに生協から長崎ちゃんぽんを供給してほしいという要請があり、それを機に外販用の冷凍食品の製造も始めた。
4メニューのうち、販売額の6割を占めるのが長崎ちゃんぽん。皿うどんも3割を占める。キャベツやタマネギなどの国産野菜に加え、エビ、豚肉、かまぼこなど9種類の具材が封入されている。
鎌田社長は「野菜パックは冷凍食品の原価高の要因となっているが、食べやすいように野菜を手作業で処理するなど、店舗で提供するメニューと遜色ない品質にこだわっている」と胸を張る。
苦戦続きの既存店売上高
ただ、リンガーハットの業績はコロナ禍が直撃する前から苦戦続きだ。2019年7月以降、既存店売上高は20カ月連続で前年割れしている。
2018年8月に野菜の価格高騰などを理由に、看板メニューである長崎ちゃんぽんなど13品目で平均3.3%の値上げを実施した。その結果、客数が減少。2019年8月から低価格のランチメニューを拡充したが、それに伴って客単価も低下し、客足が戻っても既存店売上高は前年実績を下回り続けた。
ショッピングセンターなどのフードコートへの出店強化戦略も、コロナ禍で裏目に出た。2020年11月末時点での国内店舗数は745店舗(FC店含む)だが、そのうちフードコート内店舗が54.7%を占める。
ロードサイド店と比べて設備投資額が抑えられるうえ、顧客に料理を配膳する人員が不要なため人件費を抑えられることから、2008年2月期から出店を強化してきた。
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