リンガーハット「冷凍ちゃんぽんで挽回」の事情 既存店の客数激減で迫られる収益の多角化

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だが、リンガーハットの佐々野諸延社長は2020年10月の決算説明会で、「これまでショッピングセンター内の店舗が収益源だったが、コロナ禍で(顧客の消費行動が)郊外のロードサイド店にシフトしてきた」と肩を落とす。

リンガーハットが強化中の冷凍食品。長崎ちゃんぽんと皿うどんで販売額の9割を占める。右手前の袋が野菜パック(記者撮影)

主力の店内飲食事業が不振なだけに、それに代わる収益源の確保が急務となっており、そこで目をつけたのが、冷凍食品の外販事業だったわけだ。

経営管理部門を担当するリンガーハットの小田昌広常務取締役は「当面の間は既存店の立て直しに集中する。その一方で、デリバリーや冷凍食品などの販売額を伸ばして、収益源を多角化しないといけない」と話す。

「値下げは絶対にしない」

リンガーハットの冷凍食品「長崎ちゃんぽん」の価格は1人前当たり560円(楽天市場での販売価格、税込)だ。競合商品である日本水産の「わが家の麺自慢ちゃんぽん」(同、税込460円)と比べても2割ほど高い。

「価格面では大手の冷凍食品メーカーに敵わない。品質と独自性を磨くことで差別化する。販路の拡大が喫緊の課題だが、(外販事業の)利益率10%超えは死守する。販売数を伸ばすために食品スーパーなどの量販店に対して販促(販売奨励金)を出したり、値下げをしたりは絶対にしない」(鎌田社長)との方針で、収益柱になるのには時間がかかりそうだ。

新株予約権の発行と同時に、資本性劣後ローンを50億円発行して財務危機をとりあえず乗り切った形のリンガーハット。顧客ニーズに合わせて収益源を多角化できるのか。リンガーハットに残された時間はそれほど多くない。

佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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