JR東日本の「コロナダメージ」がハンパない理由

出張需要が戻らない前提の態勢転換が不可欠だ

減少率が2ケタになっている費用は、人件費と動力費だけだ(図表2参照)。

動力費は、運行便数の削減などによるものだろう。それでも、11.6%減でしかない。

最も減少率が高い人件費は12.2%の減だが、一時帰休等を実施し、雇用調整助成金に頼った面が大きいと考えられる。

雇用調整助成金の特例措置がなくなれば、このような人件費削減効果はなくなる。

減価償却は、営業費の19.0%と、きわめて大きな比重を占めている(全産業では2.6%)。そして、設備の増加に伴って増加している。

では、JR東日本の場合、今後の売上高の変動に対して、利益はどのように変動するだろうか?

上記のように、雇用調整助成金の特例措置がなくなれば、人件費の削減は難しくなるだろう。そこで、売上高が減少しても、2019年度の値がそのまま続くとした。

減価償却は、設備が増加すれば増加する。今後どうなるかは、時点にもよるので想定が難しい。ここでは2020年度の値がそのまま続くとした。

さらに、つぎのように仮定した。

(1)動力費は、売上高減少率の4分の1の率で減少する。
(2)修繕費、その他営業費、機構借損料、租税公課は、売上高にかかわらず、2019年度の値から不変とする。

この仮定のもとで営業損益を計算すると、図表3のようになる。

2019年度に対する売上高減少率が13.8%で営業利益がゼロになり、減少率が20%だと、1200億円を超える赤字となる(注)。

(注)営業収益は、運輸収入とその他からなる。これらは別の要因によって変動するのであろうが、ここでは、両者を区別せず、同率で変動するものとした。なお、2019年度では、運輸収入は、営業収益の87.0%。

「出張からリモートへ」の移行は、コロナ後も残る

JRの売上高の減少は、コロナ禍の特殊事情にもよるが、構造的な変化に起因するものもある。企業がコロナ禍の状況をきっかけに、「出張」のあり方を見直し始めているからだ。

これまで出張で行ってきたことを、テレビ会議などのリモート手段で代替できることがわかった。それによって多大な経費を節減できることも明らかになった。つまり、これまでは、深く検討することなく、無駄な出張を惰性的に続けてきたという側面も見えたのだ。

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