ドラマ出演でも、彼らは強烈な存在感を示した。共演作としては『若葉のころ』(TBSテレビ系、1996年放送)もあったが、衝撃的な内容もあって大きな話題を呼んだのが野島伸司脚本の『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBSテレビ系、1994年放送)である。
このドラマで堂本剛が演じる大場誠は、正義感の強い優等生。だが転校先の中学校でそのことが仇になり、同級生からのいじめ、教師の体罰を受けるなどして次第に追い詰められ、結局命を落としてしまう。堂本光一は、当初は誠の親友であったものの、周囲の策略や嫉妬によっていじめる側にまわってしまう同級生・影山留加を演じた。物語は、誠の死後真相を知った父親(赤井英和)の復讐劇へと展開していく。
このドラマでは、過激な内容のなかに、少年という存在が抱える影の部分、思春期という時期特有の危うさが描かれている。それは、「硝子の少年」が表現した少年の純粋さ、儚さと、いわば裏表の関係にあるものだ。少年は、その危うさゆえに儚くも美しい。
こうしてドラマ出演から「硝子の少年」でのデビューに至るなかで、2人は「少年」の魅力を象徴するアイコン的な存在になった。そのことが、楽曲の素晴らしさと相まって、「硝子の少年」が時代を超えて支持される理由だろう。
KinKi Kidsは「ジャニーズ愛」のかたまり
一方、KinKi Kidsは、ジャニーズの歴史における要の位置にいるような存在でもある。
堂本光一と堂本剛はともに1979年生まれで、関西の出身。名字が同じなのは偶然で血縁関係などはないが、入所も同時だった。
光GENJIやSMAPのバックで踊っていた2人は、1993年に「KinKi Kids」となった。そして冒頭でもふれたように、ジャニーズ史上初のデュオとして1997年にCDデビューを果たす。それ以来、オリコン週間シングルチャート連続1位の記録も継続中で、いまもその人気の高さは変わらない。
彼らには、初のデュオによるCDデビューという点に加え、この後ふれるように関西出身者のグループといったパイオニア的要素がある。だがその一方で、彼らはジャニーズが始まって以来の伝統の継承者として、“ジャニーズらしさ”を凝縮したようなグループでもある。
まず彼らの歌には、“切なさ”や“哀愁”とでも表現できるような、ジャニーズアイドルの王道の魅力がある。先ほどふれた「硝子の少年」の持つ儚さ、それゆえの美しさは、まさにその流れを汲むものだ。
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