この「ジャニーさん」ネタの定番化は、ジャニーズという独特の魅力を持つエンタメ文化が世間に浸透したことの表れだったと言えるだろう。KinKi KidsがCDデビューした同じ1990年代後半に、滝沢秀明らを中心にジャニーズJr.が爆発的人気を集める「ジャニーズJr.黄金期」が到来したことも、そうした見方を裏付ける。
2019年にジャニー喜多川が亡くなった際にも、KinKi Kidsの「ジャニーズ愛」は発揮された。
2020年6月に発売された彼らのシングルのタイトルは、「KANZAI BOYA」。「カンサイボーヤ」と読む。KinKi Kidsとなる前に2人が名乗っていたグループ名で、これもジャニー喜多川が付けたものだった。
作詞・作曲は堂本剛。曲調としては彼の音楽的こだわりが詰まったファンクナンバーだが、歌詞には「Youたちに この名前を あげるよ」など、「ジャニーさん」のセリフが登場する。ユーモアたっぷりの歌詞のなかに、ジャニー喜多川への深い感謝、ひいては「ジャニーズ愛」が詰め込まれた、KinKi Kidsにしか歌えない楽曲だ。
いま、時代の変化のなかで
ただ、いまジャニーズ内でKinKi Kidsが置かれた立ち位置も、大きく変化しようとしている。
彼らがCDデビューした1990年代は、現在のジャニーズの隆盛を支える土台が出来上がった時代だった。SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids、そして嵐が続々とデビューし、ことごとく成功を収めたのが1990年代であった。
ところが先日、V6の今年11月1日での解散が発表された。またここ数年のあいだに、SMAPの解散、TOKIOの山口達也の脱退・退所、同じく長瀬智也の脱退・退所発表、嵐の活動休止もあった。これにより、1990年代CDデビュー組のなかで、デビュー以来変わらずに活動を続けるのはKinKi Kidsのみになる。
そんな時代の変化のなかで、少なくともキャリア的に見て、これからのジャニーズをリードする立場として彼らの責任が増すことになる可能性は高い。
しかし、KinKi Kidsに、そうした四角張った感じは似合わないとも思う。やはり彼らの最大の魅力は、どんなときにも肩ひじを張らない自然体にあるからだ。ここまでみてきたように、ジャニーズアイドルの多面的な魅力を一身に具現する稀有な存在として、彼ららしく我が道を進んでくれればいい。そうすることが逆に、ジャニーズというエンタメ文化が未来に生き残るための道筋を示すことにもなるに違いない。
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