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国際機関の重要会議に日本人が入りにくい事情 感染症危機後の秩序形成にも重要な役割果たす

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  • 阿部 圭史 政策研究大学院大学 政策研究院 シニア・フェロー
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残念ながら、日本でそのような人物を探すことは難しい。そもそもそうした人物を続々と輩出するエコシステムが存在しない。

このような危機的状況を踏まえてか、2019年1月の第198回国会における外交演説で、河野外務相は、こう述べている。

「国際機関の中でも重要な組織のトップを取るために、各国は、首相や閣僚経験者を始め、政治家の候補者を擁立してきています。これに対抗し、国際機関のトップを取るためには、日本も政治家を候補者として擁立していく必要があります。そのためにも与野党の枠を超え、適材を適所に擁立することが必要です。われこそはと思う方はぜひ名乗りを上げていただきたいと思います。外務省は全力で御支援申し上げます」

特権的会合への「入場料」

ヤルタ会談でチャーチルは言った。「これは非常に特権的な会合である。入場料は、500万人の兵士かそれと同等のものだ」。

昨今の国際社会においては、チャーチルの言うところの特権的会合への入場料は、上記の3要素を満たすことである。各業界のダンバートン・オークス会議やヤルタ会談に呼ばれるような人物について、感染症危機管理の分野を含むあらゆる分野で養成していくことは、日本にとって喫緊の課題である。

そのような入場料を払える個人の自然発生的な出現を待つことは、現実的ではない。特に、若くして①のような国際性を涵養し、③のように国際社会のインナーサークルに食い込むような経験を積むことは、日本のような年功序列・終身雇用の社会では難しい。

しかし、国際社会は待ってはくれない。したがって、各業界の国際社会の特権的会合に送り込めるような人材の候補を30代のうちから全国で10人程度同定し、政界・官界・財界・学界を行き来させ、国内外で豊富な経験を付けさせるというように、国をあげて意識的に人材を養成していくことが必要である。

そのような個人がいて初めて、日本の国益にも国際公益にも適う国際秩序を構想し、実現していくためのスタートラインに立つことができる。

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