国際機関の重要会議に日本人が入りにくい事情 感染症危機後の秩序形成にも重要な役割果たす

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新型インフルの際には、WHOはパンデミック宣言を発出したものの、結果的に新型インフルの病原性は季節性インフル並みで、たいしたものではなかった。WHOは危機をあおったと批判された。

また、途上国はワクチンのもととなる病原体提供に協力したにもかかわらず、ワクチンのアクセスに対する公平性を担保できなかったとWHOを含む国連機関を批判。これを受け、国際社会は、かねて各国間で交渉が進んでいたパンデミック・インフルエンザ事前対策枠組み(PIPフレームワーク)を完成させた。 

エボラ出血熱のアウトブレイクでは

エボラ出血熱アウトブレイクでは、WHOの初動の遅れと危機管理オペレーション能力不足が指摘された。発生当初から現場で活動していた国境なき医師団が何度もWHOへ警告していたにもかかわらず、WHOは、「危機管理オペレーションを行う主体はあくまで各国政府」として、明確なアクションを取らなかった。結果、ギニアなど西アフリカ3カ国の首都に感染が拡大し、そこから一気に欧米諸国へと拡散してしまった。

WHOが緊急事態宣言を発出したのは国境なき医師団の警告から数カ月後だった。また、そもそもの問題として、WHOに危機管理オペレーション能力も、それを迅速に行う機動的な資金がなかったもことも批判を受けた。

そこで、WHO加盟国は、危機管理オペレーションに特化した組織として、「WHO危機管理プログラム(WHE)」を設置。迅速に資金を動員できるように、「WHO緊急対応基金(CFE)」と、被災国向けの「世界銀行パンデミック緊急融資制度(PEF)」が創設された。日本は、2016年にG7伊勢志摩サミットを控えていたこともあり、これらのスキームの構想に積極的に加わった。

このように、過去3回の感染症危機では、法(IHR)、モノ(病原体とワクチン)、組織(WHO)、金に関する不備が指摘され、感染症危機に関する国際秩序の改革が行われたのだった。

今回の新型コロナ危機においても、戦後秩序の構想と、それをめぐる各国の駆け引きが激しさを増している。感染症危機に関する新型コロナ危機後の国際秩序を構想する主要舞台は、2つ。独立検証パネル(IPPPR)と国際保健規則(IHR)検証委員会だ。

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