3300円「山崎蒸溜所」のネット見学はお得なのか ウイスキー工場見学始めたサントリーの思惑

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ウイスキーといえば、応接間のカップボードに飾られたジョニーウォーカーブラックラベル(ジョニ黒)など輸入スコッチウイスキーが、ステータスだった時代もあった。試しに今、ネットショップで見てみると、そのジョニ黒はなんと2000円前後。1989年の酒税法改正をきっかけに価格が低下し、輸入ウイスキーの神設定もすっかり消滅している。

その一方、2000年代から、ステータスを上げていったのが、日本ウイスキーだ。

「コンペで受賞するなどして高い評価を受けるようになり、国外で人気が高まったほか、国内でもハイボールなどの人気によってウイスキーを飲む人が増加。2000年代の中盤を底に、ウイスキーの需要が激増していきました」(同)

原酒不足で「休売」になった商品も

まさに山崎蒸溜所のリモートツアーでも勉強したのだが、ウイスキーを熟成させるには長い時間がかかる。とくに10年単位の時間をかけることもあるのが、原酒を貯蔵して熟成させる部分だ。例えば「山崎12年」であれば、12年以上貯蔵した原酒を使っているという意味。ちなみに「以上」なので、15年や20年貯蔵された原酒をブレンドすることもあるという。

世界的なウイスキー人気もあってサントリーでも増産体制を敷いたが、原酒の生産が追いつかなくなり、例えば2018年には「シングルモルトウイスキー白州(以下、白州)12年」が休売。この頃には日本ウイスキー全体が投機目的の転売ヤーたちに目を付けられ、銘柄によっては数倍の値で取引されるという事態も。ただしその原酒不足もここへ来てようやく生産が少しずつ追いつくようになり、3月30日には数量限定ながら休売していた「白州12年」の再発売が決まっている。

この辺で「試飲ができるほか、通常見られない製造工程の映像や、ナビゲーターや参加者同士のリアルタイムコミュニケーションなど、オンラインならではの蒸溜所体験を目指した」(同)という、山崎蒸溜所のオンライン・ライブに、目を戻そう。

ツアーのほうは、リアルの見学ツアーでは見られない発酵槽のなかで発酵が進む様子を見学中。ツアースタートと同時に、チャット画面が開き、「山崎を飲んだことがありますか?」といったアンケートに答えたり、参加者が質問や感想を思い思いにつぶやくことができる。

筆者が参加したこの日も「今日は神奈川から参加しています」「早く山崎にまた行きたいなぁ」など、多数の参加者がチャットで“おしゃべり”。全国各地から多くの山崎ファンが参加していた。

山崎の発酵室。通常のリアルな見学では見られないものも見られる(写真:サントリー提供)
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