「頭のいい人」とそうでもない人の決定的な差 いきなり考えても決してうまくいかない理由
発想を変えるというのは、心のクセを変えるということでもあります。つまり、考えるための土台をつくるというのは、発想のクセを変えていくことです。簡単なことではありますが、実際に実行しようとするとなかなかできなかったりします。しかし、けっして難しいことではないので、続けていけば、きっとできるようになります。
次に必要な「考えるための土台」は、具体的なものを抽象化して捉えるクセをつけることです。情報を抽象化して理解するというのは、考えるプロセスの中においてとても大切です。なぜなら多くの場合、求められるのは、かなり個別的で今までに見たこともない問題の解決策なので、どこかで得た情報をそのまま使えるわけではないからです。
ものごとを抽象化して 構造を捉えるクセをつける
たくさんの情報を得ていても、それをそのまま解決策にできないとすれば、その情報や知識を応用する形で、解決策を考えていく必要があります。この応用をするためには、得られた情報を抽象化して理解しておくクセをつけるのが有効なのです。
例えば、小学校の算数を考えてみましょう。最初は、みかんの数を数えさせたり、りんごの数を数えさせたりします。次に、みかんとりんごを果物という抽象化された分類に変えて果物は何個あるでしょう? という質問になります。さらには、みかん3個にりんご5個を足して、全部で8個という具体的な計算から、3+5=8という抽象的な形での理解に進んでいきます。
ここまでくれば、足し算の計算は、みかんやりんご、あるいは果物に限ったことではなく、ほかの足し算の応用問題も解けるようになります。それは、果物の数を数えるという行為を、足し算という抽象的な形で理解できているからです。応用力をつけるカギは、抽象化なのです。
そうはいっても、抽象化して理解するのは、容易なことではありません。もしかすると、ここまで読んで、どうしたら抽象化できるのだろう、と途方にくれている読者の方もいるかもしれません。
誤解しないでいただきたいのは、抽象化して理解できるようになることが、考える土台ではないということです。調理器具としてそろえておく必要があるのは、あくまでも、抽象化して理解しようとするクセだけです。日頃から、「ああ、抽象化っていうのは、大事なんだなあ」「単に情報をそのまま受け取るのではだめで、抽象化の工夫が必要なんだなあ」と思うことがポイントなのです。
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