コロナ以降も「仕事で淘汰されない人」の3条件 ツールと情熱をもった「個人」が生き残る

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それが行き着く先は、世界のフラット化です。少なくとも、こんなニュー・エリート層に対しては、会社側は能力に応じて対価を支払うだけなので、その人が住む場所に応じて給料を変えるなどはナンセンスな時代が来るのです。

そして逆に、働く側も、ソフトウェアエンジニアの職を得るためにシリコンバレーに移住する必要もなくなるので、自分のライフスタイルに合わせた場所に住むことが可能になるのです。最近、シリコンバレーで成功した人がハワイに別荘を買うという話をよく聞きますが、それが別荘ではなく、活動の本拠地になる時代が来ようとしているのかもしれません。

これは日本の優秀なソフトウェアエンジニアにとっては朗報だと思います。物価の安い日本で、アメリカ並みの給料がもらえるのですから。首都圏に住む必要もないので、広い家に住めるし、海や山を楽しめます。でも英語は必須なので、それだけは勉強しておいたほうがよいでしょう。

イノベーションを起こすのは「個人」

「ニュー・エリート」とは、自分のライフスタイルを優先して住む場所(海岸、山奥、農村、リゾート地など)を選び、そこからリモートワークで社会・企業にとってなくてはならない仕事をするワークスタイルを持つ人たちのことですが、そんな働き方をするためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。

何よりも重要なことは、「社会にとって価値のあるものを生み出す力」を持っていることです。「イノベーションを起こす人」と言い換えてもよいと思いますが、必ずしも「もの」や「サービス」に直結している必要はないので、かなり広い意味でのイノベーションと考えてください。

イノベーションの起こし方に関して勘違いしている人が多いのですが、イノベーションを起こすのは「会社」や「組織」ではなく、常に「個人」です。これまでに存在しないものを作り出すには、様々な障壁を乗り越えなければなりません。マーケット・リサーチやフォーカス・グループへのヒアリングからは、ありきたりのものしか生まれないのです。

「社長直轄の新規事業開発部」のようなアプローチがうまくいかないのは、その組織作りに「個人の情熱」への配慮が欠けているからです。「作りたくて仕方がないもの」を持っていない人を一カ所に集めても、イノベーションは生まれないのです。

イノベーションを起こすには大きなリスクが伴います。「そんなものを作っても誰も使わない」「そんなものを作るのは無理」「まだ誰もそんなものを作っていないのには理由があるはずだ」などの反対意見が必ず出ます。多数決をとったら、必ず「ありきたりのアイデア」が勝つのです。

そんな障壁を乗り越えるには、「こんな価値を世の中に提供したい」「人々がこんなライフスタイルを持つ社会を作りたい」という個人の情熱が必須なのです。そんな一個人の情熱が周りの人の心を動かし、大きなエネルギーとなって、新しいものが生まれるのです。とは言え、1人でできることは限られているため、会社組織が必要なのです。

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