テスラのCEO、中国で「スパイ活動」否定の背景

センサー満載のEVが安全保障上の懸念を惹起

テスラのEVは多数のカメラやセンサーを搭載して自動運転機能をサポートしている。写真はテスラの上海工場の生産ライン(同社の投資家向け広報資料より)

アメリカの電気自動車(EV)大手のテスラは、中国のEV市場で群を抜く成功を収めている。同社が上海工場で現地生産する主力EV「Model 3」は2020年1月のデリバリー開始とともにベストセラーとなり、同年の販売台数は13万7400台と中国のEV販売ランキングでいきなり首位に躍り出た。

ところが(アメリカと中国の政治的対立が深まるなかで)、テスラの躍進は思いがけない懸念を呼んだ。同社のEVは自動運転機能をサポートするために多数のカメラやセンサーを搭載する。それが中国の安全保障を脅かす目的に使われるのではないかと、一部から憂慮の声が上がったのだ。

そんななか、テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は3月20日、北京で開催された国際経済フォーラムにオンラインで出席。前述の懸念に対して次のように否定した。

「もしテスラがスパイ活動のためにクルマ(のセンサー)を利用したら、中国からたちまち締め出されるだろう。われわれはあらゆる情報の機密を保護するために真剣に努力している」

公式ウェブサイトの情報によれば、テスラ車は搭載する8台のカメラで車外の視野を360度カバーしており、(歩行者や障害物などを)サーチ可能な距離は最長250メートルに達する。加えて12台の超音波レーダーを搭載することで、最先端の自動運転機能を実現している。

ドライバー監視の車内カメラにも疑いの目

アメリカのブルームバーグ通信は3月19日、中国の関係当局が車載カメラによるデータ収集を防ぐため、テスラ車のオーナーに対して敏感な施設への乗り入れを禁じたと報じた(訳注:ブルームバーグ報道の原文では「関係当局」は中国軍、「敏感な施設」は軍の所有施設となっている)。

中国のあるEVスタートアップのエンジニアによれば、中国政府は民間による地理情報の収集を厳しく規制しており、事前に申請して許可を得なければ行うことはできない。しかし実態としては、(自動運転技術の開発に取り組む)自動車メーカーは多かれ少なかれデータを収集しているという。

テスラ車は車外を監視するカメラに加えて、車内を撮影するカメラも1台搭載している。テスラは2020年10月に開始した「完全自動運転(FSD)モード」のテストで、ドライバーが走行状況に神経を集中しているかどうかをチェックするために車内カメラを活用している。

本記事は「財新」の提供記事です

中国では、この車内カメラに対しても個人のプライバシー保護に関する疑いの目が向けられた。

これについてテスラは3月19日、「中国市場向けのクルマの車内カメラは起動されておらず、中国ではFSDモードのテストも実施していない」と釈明した。

(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は3月20日

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