「省エネ住宅」を選択する人は本当に増えるのか 建物のみならずソフトの改善もカギになる
賃貸住宅の「部屋探し」をする際に、どんな点を検討材料にするだろうか。家賃、立地、部屋の広さ、間取り、内外観、設備、築年数などが主なものだと思われる。他に、インターネットサービスやオートロックの有無、ペットと暮らせることなども検討材料に加えるという人もいるだろう。
では、「省エネ性」を検討材料にするという人はどうだろうか。ほとんどいないと考えられるが、その理由はそもそもそうした観点から検討するという発想自体がほぼないからだ。ただ、それは当然のことである。
省エネ性の高い物件自体が少ないし、あっても省エネに関わる情報の提供が行われていないケースがほとんどだからだ。このことは、賃貸住宅に関する情報提供のあり方にも問題があると思われる。
試しに主要な賃貸住宅検索サイトを見てもらえれば、この指摘が間違いのないことはすぐに確認できるに違いない。住まいの省エネ機器として象徴的な「太陽光発電」や、断熱性を高める窓に関する項目はほぼ皆無だ。
環境問題が居住ニーズを変える可能性
しかし、今後はそうした状況に変化が見られるのではないか、というのがこの記事で述べたいことだ。その背景には、日本政府が温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすることを打ち出したことがある。
住宅分野も当然、その実現に向け動く必要があり、賃貸住宅も少なくとも新築については省エネ性能が高い物件を供給しなければならず、結果的に部屋探しをする人たちに向けて、省エネ性に関する情報提供をすることになるだろうと考えられるのだ。
また、若い世代を中心に環境問題への意識が高い人も増えている。今後、彼らを中心とした多くの人たちが「省エネ性の高い住宅、賃貸住宅に住みたい」という考え方が広がる可能性だって否定できない。
前述のようなことを筆者に妄想させる物件を見てきたのでご紹介する。「シャーメゾン」ブランドで賃貸住宅を供給する積水ハウスがさいたま市見沼区内に建設したもので、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」仕様で建てられているのが特徴だ。
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