仕事をラクラクこなす人の脳は老化が進む驚愕 30代からの脳の老化を食い止める2つの方法

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何か新しいことに直面すると、私たちの脳は各所が活性化し、連絡を取り合って対処するようにできています。しかしそのやり方を覚え、回路ができてしまうと、脳はできる限り“省エネ”を試みようとします。最初と同じように、脳をフル回転させるのではなく、前回使って有効だった脳だけを働かせ、最小限の労力で済ませようとするのです。

このこと自体は、脳の素晴らしい機能の一面であることは確かです。なぜなら目の前で起きるすべてのことを、つねに脳がフル回転で対応していたら、あっという間に脳がオーバーヒートしてしまうからです。そうならないために、脳はルーティーン的な行動を、脳の中のでき上がった回路を使って、なかば無意識に処理するようになっているのです。これがいわゆる「習慣化」とよばれるものの正体です。

朝起きて歯を磨き、顔を洗う。コーヒーを飲みながら新聞を読む。これらの行動は、いちいち頭の中で考えながら行うものではありませんね。体が自然と覚えていて、そのように考えなくても動いてしまう。脳は省エネのために習慣化を行うようにできているのです。

失敗すると脳はフル回転する

省エネという点では非常に合理的な脳の仕組みですが、じつはこれが諸刃の剣なのです。習慣化が進んでいきそれに頼ることは、楽になると同時にマンネリ化をもたらします。脳はほとんど働こうとせず、老化と退化が進んでしまうことになるのです。

ではどうすれば脳の老化を防げるのか。一番効果的な方法が〝失敗体験〟をすることです。失敗体験ほど、たくさんの情報を得られる体験はありません。それは強烈な刺激となり、脳のさまざまな部分を活性化させます。

人は失敗をすると、落ち込み、ショックを受けます。そのストレスはある程度のものであれば、脳に対する強烈な刺激になります。さらになぜ失敗したのか、その理由を考えます。脳をフル回転させ、失敗の原因を探り、次回どうしたらいいか、対応策や改善策を考えます。

ところが、大過なく事が運んだときは、これまでの経験から何も変える必要がないことが多く、ほとんど脳は働きません。成功したときの喜びのようなものは、ドーパミンなど脳内物質の分泌で感じるかもしれませんが、脳全体がフル回転するわけではありません。失敗したときにこそ、脳は成長するのです。

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