仕事をラクラクこなす人の脳は老化が進む驚愕 30代からの脳の老化を食い止める2つの方法

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脳の成長のために大事なのは、失敗したときにしっかりと現実と向き合うことです。失敗したことを認め、なぜうまく行かなかったのかを冷静に考える。ここで、ごまかしたり逃げたりして脳が成長するためのターニングポイントをスルーすると、せっかくのチャンスを逃すことになります。

また、チャレンジする精神も大事になります。「チャレンジ」と「失敗」は表裏のものです。残念ながら若い人の傾向として、失敗を恐れるあまりチャレンジをしないということがあります。

未知の領域にチャレンジすることが、大いに脳を使うことにつながります。そして仮に失敗しても、それにしっかりと向き合うことで、さらに脳を使い成長させることができる。失敗を恐れ、チャレンジしない人はみすみすそのチャンスを逃しているのです。

初めての店に行ったほうがいい

失敗体験に加えて、「初めて」の体験も、脳への刺激となります。たとえば会社から帰宅する際、いつもと違う道を通ってみる。普段とは違う景色や人の流れがあるでしょう。新しいお店や気になる施設などを発見するかもしれません。

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昼食は、ほぼ行く店が何軒か決まっていて、そのローテーションというビジネスパーソンも多いと思います。意識して、最低週に1回は、新しい店で昼食を食べるようにしてみる。なかにはハズレの店もあるかもしれませんが、隠れた名店、おいしいお店に出くわすかもしれません。

それを続けていくことで、自然とおいしい店と、そうでない店のそれぞれの特徴や共通点などが見えてきます。いい店と、そうでない店を見分けるセンスも自然と身につくでしょう。何より、新しい店に飛び込むことで脳がフル回転しますから、それだけで感覚が研ぎ澄まされていくのです。

最近、ビジネスにおいて重要と言われるセンスや感性も、日々意図的にブラッシュアップしていかないと鈍ってしまいます。こうした「初めて」や「失敗」の体験を通じて脳を刺激し、老化を防ぎ、感覚・感性を鋭く磨いていってほしいと思います。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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