駒大・大八木監督「62歳」何ともエモい指導の神髄 「男だろ!」はスイッチを入れる記号にすぎない

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駒澤大学陸上競技部の大八木弘明監督(撮影:尾形 文繁)
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2021年の箱根駅伝は駒澤大学が最終10区で3分以上のタイム差を大逆転して総合優勝しました。9区を終えてトップの創価大学と2位の駒大は3分19秒差。初優勝を狙う創価大にとっては明らかにセーフティーリードといえるものでしたし、追いかける駒大も10区で大逆転が起きるとは想像していませんでした。

しかし、駒大は“奇跡”を演じました。両校の差は蒲田(10区5.9km地点)で2分45秒に縮まり、15kmを過ぎたところで大八木監督が乗る運営管理車からも創価大の背中が見えてきました。そこからは箱根路の名物ともいえる「男だろ!」の檄が響きわたり、残り2kmで逆転、ミラクルVを手にしたのです。

平成の常勝軍団が復活

駒大は、今回の箱根駅伝優勝も含め、学生3大駅伝では最多23回の優勝(出雲駅伝3回、全日本大学駅伝13回、箱根駅伝7回)を誇ります。そのすべてで指揮を執ってきたのが大八木弘明監督(62歳)です。

就任3年目の1997年に出雲初優勝、1998年に全日本初優勝、2000年に箱根初優勝と大学3大駅伝を制し、駒大を一躍強豪校へと押し上げました。平成だけで大学3大駅伝21勝。「平成の常勝軍団」を率いる大学駅伝界きっての名将です。

しかし「平成の常勝軍団」も最近はやや精彩を欠いていました。中村匠吾選手(東京オリンピック代表)が4年生だった2014年の全日本大学駅伝4連覇を最後に、タイトルから遠ざかっていたのです。しかも2018年の箱根ではシード落ちするという苦渋を味わいました。

その低迷期を経て、令和元年の2019年は出雲2位と全日本3位。そして今季、全日本で6年ぶりの優勝をつかみとり、箱根駅伝を13年ぶりに制しました。結果として「駅伝2冠」という最高の成績を残し、大八木監督は見事に駒大を復活に導いたのです。

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