駒大・大八木監督「62歳」何ともエモい指導の神髄 「男だろ!」はスイッチを入れる記号にすぎない

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大八木監督といえば熱血指導で有名。勝てない時代が続いたときには、その厳しい指導に「今どきの若者はついてこれないのでは?」という声もありました。

組織論の世界でも、近年、「サーバントリーダーシップ」が推奨されています。「サーバント」とは、「使用人」「召使」という意味で、奉仕の気持ちを持って接し、どうすれば組織のメンバーの持つ力を最大限に発揮できるのかを考え、その環境作りに邁進するリーダーシップを指します。メンバー1人ひとりの声に耳を傾け自主性を尊重することで、メンバーのモチベーションにつなげていくことが、チームビルディングにおいては有効だと、近年の研究では注目されているのです。

その対極にあるのが「支配的リーダーシップ」。リーダー自身の考え方や価値観を貫き、部下を強い統率力で引っ張っていく「強いリーダーシップ像」として、長らく日本において主流となっていたリーダーシップのあり方です。大八木監督のイメージは、「支配的リーダーシップ」の人です。

また、一部には代名詞の「男だろ!」に対して疑問視する向きもあります。女性からは「ジェンダー観点からみると差別的だ」という非難が相次ぎ、男性からも「今どき、会社の中で男だろ、女だろ、は禁句。管理職が口にすれば一発アウトです」という声があがっています。

しかし、その指導法で彼は偉業を達成したのです。

大八木監督は、今どきの学生をどのようにして掌握し、どのように奮い立たせ、駒大を復活に導いたのか。「令和の大八木マジック」を解き明かすことは、チームビルディングの観点において極めて興味深いテーマといえます。

実は5~6年前から指導を変えていた

東洋経済オンラインの独占インタビューで、大八木監督本人にこの問いをぶつけてみました。そこから見えてきたのは「支配的」でも「男性優位」でもなく、自身のリーダーシップを少しでも進化させようと歩みを止めない指導者の姿でした。

「5~6年前くらいに、今までのやり方では無理かなぁと思うようになった」と大八木監督は語りはじめました。「厳しく言っても、練習を見ていて動きがよくならない。活気がないと感じるようになった」のがきっかけだったとのこと。

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