親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ
最近、私が診察した5歳の女の子の話をしましょう。彼女は日常的に午前3〜4時にならないと眠れないという状況に陥っていました。9時とか10時に寝かしつけようとしても眠れないのです。そして彼女もまた、マイペースな生活を送っていて、この時点で体調不良を抱えているわけではありませんでした。
しかし、朝、10〜11時に起こされて、ほぼ眠った状態で保護者の車で登園し、そのまま眠ったあと、午後1〜2時に目が覚めるとみんなと遊ぶ生活でした。
学校社会生活の最初でつまずくのを座視するわけにはいきません。直ちに治療を開始しました。治療の結果、女の子は、朝7時までに10時間ほど眠る生活を取り戻して、2020年に小学1年生となり、コロナ騒ぎのあと、6月から毎日元気に朝から登校しています。
最大の問題は起床時間が遅くなること
寝つき不眠の最大の問題は起床時間が遅くなることです。遅寝・遅起きの生活習慣です。1日の生活リズムが遅いほうへずれると、体内時計もずれます。
実は、乳幼児の生活の時間帯が後ろにずれても、遅れて登園するといった問題はありますが、マイペースに自由な生活ができるなら目立った問題は起こらず、体調もほぼ変わりません。生活リズムと体内時計が「一緒にずれるという同調」を起こすからです。
問題は、就学を機に、学校社会生活というかなり厳格に設計された生活リズムに、そのずれた個人の生体リズムを無理やり合わせなければならないことです。
身体の中では異変がじわじわと蓄積して、結果的に大変な苦労を強いられます。合致させる作業の途中で無理が生じて、生体リズムの何もかもがバラバラになることもあります(図参照)。
散漫な注意力、低下するエネルギー産生、極度の疲れやすさなどの症状が起こり、登園、登校どころか1日を過ごすだけで精一杯です(Van der Heijden KB, 2005)。
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