親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ
入眠困難が要注意な睡眠障害であることがおわかりいただけたかと思います。
その原因ですが、1995年ごろ、私は乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動していることに気がつきました。きっかけとなったのは宮崎県北西部のある町での乳児健診です。
健診に際して、すべての乳児と保護者にボランティアで2週間の睡眠記録表を書いていただいたときのことです。寝つく時間が遅い乳児では母親の入眠時間も遅く、乳児と母親の生活リズムがピタリと見事に一致していたのです。さらにこの現象は、家族の生活リズムの立て直しによってきれいに改善することもわかりました。
午前2時過ぎに寝る生後5カ月の子
それから5年ほど経たったとき、私は生後5カ月の女の子が毎晩午前2時過ぎに眠っている睡眠記録表をみてやはりびっくりした記憶があります。夜遅くまで働く父親の帰りを母親は赤ちゃんと一緒に待っていました。その時点で臨床的な問題はありませんでしたが、赤ちゃんの将来を心配した私は家族全員で生活リズムを見直すように説明して協力を求めました。
この家族では父親が転職をし、夜9時までに家族全員で眠る努力をされました。その結果、1歳半の時点で見事に夜9時から朝7時まで眠る生活リズムを取り戻すことができました。
2012年から2014年にかけて実施した「アートチャイルドケア調査(現在も持続中)」では、夜11時以降、夜0時以降に眠る習慣のある乳児が少なからず存在し、赤ちゃんの寝つき不眠が決して珍しい現象ではないことが判明しています。
2017年に実施された、京都府木津川市における1〜6歳の乳幼児の調査でも、午後10時以降に入眠する習慣のある子どもは約30%に及ぶことがわかりました。興味深いのは、保護者は子どもの10時以降の入眠に対する問題意識がほとんどなかったことです(小西行郎、2019年)。
乳幼児期の寝つき不眠は、体内時計と生活リズムの不調和によって起こる睡眠障害です。寝ようとする時間に体内時計の準備が整っておらず、眠ることができないのです。時間が経つと眠れるし、睡眠も持続するので不眠とはいえない、という解釈です。ですが後に発達上の問題を招く原因となり、将来的にも情緒的な問題や病気に対する抵抗力を弱める免疫機能の問題を招きやすくします。
睡眠はただ眠りさえすればよいというものではなく、適切な時間帯でなければならないというルールがあるのです。
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