「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃 産業ピラミッドの王者を主従逆転する序章か
例えば、ルネサスエレクトロニクスの場合、2020年4~6月期の前工程稼働率は60%を切る低い水準だった。ルネサスは台湾TSMCなどに生産委託しているが、需要見通しの悪化からその委託量も減少させていた。
もっともBCP(事業継続計画)用にルネサスなど在庫を用意している半導体や部品メーカーもあるが、特に欧州系はそれすら十分に確保していなかった。今回、ドイツ・コンチネンタルなど欧州メガサプライヤーへの依存度の高かったホンダや日産自動車に大きな影響を及ぼしたのはそのためだ。結局、傷が浅く済んだのは、サプライチェーン管理に長けたトヨタ自動車くらいだ。
そのトヨタも、アメリカ・テキサス州での寒波の影響で仕入れ先の半導体工場が停止したことから、3月22日からチェコ工場の2週間停止に追い込まれた。
「しょせんティア2かティア3だと」
「半導体はしょせんティア2(2次下請け)かティア3(3次下請け)と思っていた」
自動車産業を監督する経済産業省の担当者は、自動車メーカーからの半導体業界への視線について、こう説明する。だが、こういった状況は急速に変わりつつある。