「会議中スマホを見る人」を襲いかねない問題 タスク・スイッチングが脳を疲弊させる

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僕は、アップルウォッチを使っていたときでさえ、すべての通知をオフにして使っていました。アップルウォッチを使っていたのは心拍数を確認したかったからで、ランニングしながら仕事のメールに返信をするためではないからです。

メールも電話も地図も決済も、すべてができる便利なスマートフォンですが、ときに通知によって今、目の前にいる人との時間をも台無しにしてしまいます。目の前の人といくら大切な話をしていても、メールの通知音が鳴ったりスクリーンに通知がきたら、無視できないのが私たちなのです。

「考える力」が落ちるスマホの支配

『デジタル・ミニマリスト』を書いたカル・ニューポート氏によれば、1995年以降に生まれた若者世代は、孤独な時間を排して常時世界とつながっていることで、メンタルヘルスに支障をきたしている例が増えていると警鐘を鳴らします。

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私たちは、ときには自分の気持ちを振り返って反省したり、自分でも気づいていなかった本音を見つめ直したり、自分が本当に大切にしていることを考える時間を奪われることで、そもそもそれを考える能力すら奪われているようなのです。

とくにSNSを見ていると、日常の中でも特別にいいシーンだけを切り取ってありますから、地に足をつけた自分の生活を振り返ることが大切だという感覚を忘れてしまいかねません。

SNSを見ないようにすると、「最新情報に追いつけないのではないか」という不安な気持ちが生まれる人もいると思いますが、不快な投稿に気持ちを乱されたり、きついメッセージを受け取ったりするデメリットと自分の時間が増えるというメリットを総合すれば、メリットのほうが断然大きいでしょう。

今の私たちの生活は、不便なようでいて実は大きなチャンスです。普段の生活では他者がいや応なく時間に割り込んできてしまいますが、今なら通知をオフにすれば自分の時間をどう使うか、自分ですべてを決められるのです。

じっくり計画を練るもよし、新しい習慣を身につけるもよし、数年計画で人生のスケジューリングを見直すことだってできます。この先の人生を変えるタイミングが、今なのです。

池田 貴将 オープンプラットフォーム代表取締役

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いけだ たかまさ / Takamasa Ikeda

リーダーシップ・行動心理学の研究者。早稲田大学卒。在学中に渡米し、世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ本人から直接指導を受け、そのノウハウを日本のビジネスシーンで活用しやすいものにアレンジ。感情と行動を生み出す心理学と、人間力を高める東洋哲学を統合した独自のメソッドが注目を浴びる。開催するセミナーはコンサルタントやビジネス作家などのプロも受講。著書に『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『動きたくて眠れなくなる。』(サンクチュアリ出版)、『未来記憶』『心配するな。』(サンマーク出版)、『がんばらないほうが成功できる』(PHP研究所)などがある。

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