「会議中スマホを見る人」を襲いかねない問題 タスク・スイッチングが脳を疲弊させる
マルチタスクではなくタスクの切り替え
私たちの脳は実はごくわずか、1~2%の人をのぞいてマルチタスクができません。私たちがマルチタスクだと思っているものは、単なるタスクの切り替えであることがわかっています。
スタンフォート大学の神経科学者、エヤル・オフィル博士は、「人間はじつのところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへと素早く切り替えているだけである」と述べています。
ためしに、1から10まで数を数えながら会議の議事録をとってみてください。必ずどちらかがわからなくなります。私たちは、どちらも脳の前頭前野を使うような2つのことには、同時に取り組むことができないのです。
そのうえタスクからタスクへと切り替える際には、集中力を取り戻すまでに平均約25分かかり、脳のエネルギーをかなり消費してしまうことがわかっています。
とくにオンライン会議が中心となった最近では、多くの人は意識せずに会議の合間にメールをチェックしたり、書類を作成しながらチャットアプリのメッセージをチェックしていると思いますが、脳はそのたびに集中をいったんストップし、新しくまた時間をかけて集中し直していたのです。
忙しかった気もするし、こんなに疲れているのに大したことができなかったな、と感じた1日はありませんでしたか? それはマルチタスクならぬタスク・スイッチングによって、脳の集中が妨げられていたからなのです。
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