転職したい人が「社内に残る」ことを選んだワケ キャリア相談に乗るスタートアップが増える

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今の仕事へのやりがいは薄れているが、会社に大きな不満はなく、転職するほど自分に自信がない――。そんな中、カウンセリングをきっかけに新たな仕事を見つけた人もいる。

システムエンジニア(SE)の谷川知華さん(仮名)は2020年の夏、悶々とした日々を送っていた。谷川さんは大手の商業施設運営会社で営業職を経験した後、5年前、九州・沖縄地方のIT企業に転職した。SEとしてシステムの保守などを担当、仕事には慣れてきた半面、「これ以上の成長が見込めなさそう」と焦りを感じていた。

家族に悩みを打ち明けても「あなたは恵まれている」とつれない反応だった。周囲にも自分と同じようなIT関係の仕事をしている人がいなく、相談できる相手がいなかった。そんな時、ネットの検索で偶然知ったのがオンラインキャリアカウンセリングの「ミートキャリア」だ。

社内で希望職種への異動

初回の面談では、自分のモヤモヤした気持ちをキャリアサポーターに聞いてもらった。サポーターからは「働いている中でどういうことを大事にしているか」「何をしているときが楽しいか」といった問いかけがあった。最後にあなたに向いているかもしれないと提案があったのが「カスタマーサクセス」という職種だった。

同職種を調べてみると、単なる技術のサポートにとどまらず、「顧客に寄り添っていけそうな仕事」だと思った。谷川さんは以前の営業経験と技術的な知識の両方を生かせそうと考え、転職活動を開始。サポーターの指導を受けながら、何とか職務経歴書などの書類を作成することができた。

2020年の年末、まだ転職するかどうか迷いもあったが、谷川さんは三度目のカウンセリングを受け、数ある求人の中からIT関連の会社を受けることを決意。そして会社に「わたし転職するので多分やめます」と告げた。

すると社長から思いもよらない話があった。社内でカスタマーサクセスの部署を作ることになり、2021年春に異動を実現できるのだという。30代半ばの谷川さんは不妊治療に取り組んでいたため、仕事内容と会社が同時に変わることに対して不安も感じていた。社内での希望職種への異動はまさに「渡りに船」だった。

3回のカウンセリングや書類の作成指導などでかかった費用は6万円ほど。谷川さんは「地方在住者でもオンラインでいろいろなサポートを受けられるのが良い。気持ちが落ち込んでいる時に励ましてもらえ、前向きに活動できた」と振り返る。

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