転職したい人が「社内に残る」ことを選んだワケ

キャリア相談に乗るスタートアップが増える

谷川さんが利用したミートキャリアを運営するfruor(フルオル、東京都港区)は2019年1月の創業だ。人事部や人材会社でキャリア支援に携わった経験のある人材を30人強用意し、転職だけでなく、副業や社内異動など幅広い選択肢を提案する。

コロナ禍を受けて、オンラインカウンセリングの利用が伸びており、2021年2月時点の登録者数は約1700人と1年前の3倍。月平均の相談件数は2.5倍に増えたという。利用者の85%が女性だ。

「コロナ禍でキャリア形成に関して漠然と悩み始め、会社と関係のない第三者に相談したいという需要が増えている」とフルオルの喜多村若菜代表。在宅勤務などリモートワークが普及する一方、メンタル面で不安を感じる人は多いとみており、「今後は企業の従業員向けサービスにも力を入れたい」と話す。

「自分はどう生きたいか」を軸にキャリアを決めるキャリアのパーソナル・トレーニングを手がけるのはポジウィル(東京都港区)。マンツーマン指導が特徴のダイエットジムのように、プロの専属トレーナーが付き、理想のキャリア実現へと伴走する。

入社後に肯定感を得られない人も

週1回、60分間のビデオ通話を通じて、利用者のこれまでの人生やキャリア選択を理解し、理想と現状のギャップを分析。自分ではなかなかわからない強みや向いている仕事についてアドバイスする。さらに、いま現場で評価される履歴書・職務経歴書の書き方の指導や面接対策も。日々感じたちょっとした悩みごとはチャットで相談できる。

2カ月半の「キャリア実現プラン」の場合、料金は45万円(税別)。2019年8月のサービス開始から約1年で利用者は30倍に増えた。利用者は20~30代が中心だが、最近では40代以降の利用者も増えているという。

金井芽衣代表は利用者について「親に勧められるがままに進学校に行き、就職活動も頑張って大手企業に入った『いい子』が多い。しかし、就職後に自己肯定感をえられずに『このまま会社にぶら下がっていていいのだろうか』と危機感を感じている」と分析する。

プログラムを受講した結果、転職する人と現職に残る人は「半々程度」。中には「自分は決して悪い環境にいるわけではない」と気づき、今の仕事における目標を見つけたり、部署異動を申し出たりといった前向きな行動につなげる人も出ているという。

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