大震災後と酷似するコロナ後の「メンタル危機」 コロナは避難生活と同じ、高まる自死リスク

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新型コロナウイルスの電話相談対応に追われる保健所職員ら(東京都港区提供、写真:時事)

「新型コロナウイルスと放射能の問題はよく似ている」

東京電力福島第1原発事故の後、避難者の心のケアを続けている福島県立医科大学の前田正治教授(災害精神医学)は言う。

「津波や地震などの災害現場は一目で『被災地』だとわかる。他方、原発災害はどこからどこまでが現場かわからないため、境界が曖昧だ。目に見えないウイルスもこれと同じ。新型コロナウイルスは症状が表れなくても人に感染させるため、とくに可視化しにくい。目に見えないことで人々は不安になり、互いに疑心暗鬼に陥っている」

広がる医療・介護従事者への偏見

原発事故後、「福島は放射能が怖い」という偏見が広がった。避難者の中には避難先で周囲に福島県出身者だとわかってしまうことを恐れ、それを隠す人も珍しくはなかった。こうした偏見は、コロナ禍で「感染者の多い東京は怖い」とひとくくりにする偏見と共通すると前田教授は指摘する。

ウイルスへの不安や偏見は特に医療や介護従事者にも向けられやすい。

「医療者は、陽性になると社会的な制裁を受けるのではないかと、職場以外の場でも委縮してしまう。医療・介護従事者の感染リスクは普通の人より当然高いが、陽性になってしまうとまるで『犯罪者』のように扱われることもある」(前田教授)

コロナ第1波が到来してから1年が経つ。だが、医療・介護従事者は息つく間がない状態が続いている。北海道医療労働組合連合会が2020年11~12月に道内の看護師らに行った調査によると、仕事に精神的負担を感じているという回答が7割にのぼった。

「いまは踏ん張らなければいけないという思いがあり、離職者はそれほど増えていない。しかし、ワクチン接種が始まり、出口が見えるようになると、『燃え尽き症候群』による離職者が増えるのではないか」と日本医療労働組合連合会の森田進書記長は危惧する。

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