不満を持つ女優たちに勇気を与えた
だが、彼女たちは一様に、「やりがいのある役なら、映画かTVかは関係ない」ことを強調している。映画では”誰かの妻”でも、TVでは思う存分、実力を発揮できる役、体当たりでぶつかるチャレンジングな役が得られるのだと。
『ダメージ』のクローズのように、質の高いドラマで人々の記憶に残る役を演じることができるなら、TVだ、映画だとこだわるのはつまらないことだと、現状に不満を持つ女優たちが思うのは当然だろう。彼女たちが存分に実力を発揮できる役を提供すれば、これまでになかったような大胆な内容の番組でヒットを飛ばすことができるのだと、送り手の背中を後押したのは、やはり『ダメージ』の成功があってのことだと言える。
女優もひとつの職業だ。よって、結婚や出産、子育てなどによりキャリアを中断するケースは少なくない。35歳が女優の価値の分岐点とするならば、20代後半から30代前半という女優業において最も重要だと考えられる時期を、子育てに費やすという選択をする女優は多い。その後、再び現場に戻ってこられるかは、まったくもって未知数である。年齢とともに需要は減り、ギャラは値崩れを起こし、一方で観客の好みは移り気であり、次から次へとスター候補に困ることはない業界なのだから。
そうした中で、実力のある女優の活躍の場所を広げ、TVシリーズの主役を務めることをブランドとして確立したクローズが成し遂げたことは、非常に大きな意味を持つ。全米の視聴者を震撼させたクローズの演技は、多くの女優たちに勇気を与えるものでもあったのだ。
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