貧富の格差が株式バブルをもたらすメカニズム

BNPパリバ・エコノミスト河野龍太郎氏に聞く

超金融緩和と大規模財政出動で株高が実現している(写真:Bloomberg)
実体経済が低調な中で、超金融緩和、大規模財政出動によって株式市場をはじめとする金融市場は活況を呈している。過去20年あまりの間にマクロ経済政策は経済の安定よりも、資産バブルとその崩壊を作り出しているように見える。BNPパリバ証券のチーフエコノミスト・河野龍太郎氏はそのような現象を生んでいるのは、所得分配の歪みによる格差の構造であると指摘している。

――日本経済が新型コロナ流行前の水準に戻るのは2022年度以降になると予想するエコノミストが多い中で、早い回復を予想されているとのことですね。

コロナ前の2019年10~12月期の水準に戻るのは今年の10~12月期とみている。日本は昨年4~6月の緊急事態宣言で欧米のロックダウンより緩い対策を取り、新型コロナ死者数も欧米より少なかったが、経済の落ち込みは前期比年率マイナス30%ぐらいと欧米とほとんど変わらなかった。7~9月期の回復も同プラス20%ぐらいで、これも欧米と同様か、むしろ小さいぐらいである。日本は高齢化社会なので、経済活動に慎重なのだと思われた。

しかし、昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率11.7%と比較的高く、経済活動はあまり抑制されなかった。また、緊急事態宣言の再発出された冬についても1月こそ経済活動は抑制されたが、2月はそうでもなかった。

日本のGDPも今年末にはコロナ前の水準に戻る

そこで、160を超える国を対象に、縦軸に人口比の新型コロナ死者数、横軸に実質GDP伸び率を取ってプロットしてみると、両者の間に相関関係がないことがわかった。移動制限などの厳格化指数と実質GDP伸び率との間にも相関関係はなかった。おそらく、東京大学の渡辺努教授の指摘のとおり、経済的なダメージは政府のロックダウンや供給ショックによるものよりも、人々の恐怖心による需要ショックがもたらしたものだろうと思う。そして、今では多くの人が新型コロナへの対応に慣れて恐怖心も薄らいだので、活動があまり抑制されないのだろう。

今後日本経済は欧米と同様に回復に向かうとみられ、今年の10~12月期、早ければ7~9月期にはコロナ前の水準に戻ると予想している。ただし、2019年10月の消費増税によって実質所得が切り下がっているので、2019年7~9月期の水準に戻るのは2022年7~9月期以降になるだろう。今年の1~3月期はマイナス成長だが、その後は比較的高めの成長が続き、2022年後半にパンデミック前に戻った後はまた成長率は低くなるとみている。

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