根深い差別の撲滅に「パラ五輪教育」が最適な訳 金メダリストが教員研修で伝えていること

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子どものころに多様な人と気軽に接することで、障がいの有無にかかわらず、人それぞれが持つ違いを「普通のこと」「個性」と思うようになれば、女性差別や性差別なども含めて多くの差別が減っていくのだろう。

「大会を招致したことで、バリアフリーの世界基準が入ってきたことが大きなことなんですけど、まだ一般の方には伝わっていない。研修に来た先生たちにもそこを話すと『パラ教育は、社会を考える教育だったのですね』と、前のめりになってくれる。

パラリンピックは障がい者が出場している大会というだけではなく、共生社会を目指していることを知っていただけると、大会自体の見方も変わってくると思います」

マセソンさんは教員研修にこう期待を寄せる。

橋本新会長が取り組むべき課題

最後にマセソンさんに橋本組織委員会新会長のことを聞いた。同じ冬季競技、同じリンクを使った競技出身だ。

「橋本さんは私が選手のころ、まだパラリンピックの言葉をみんなが知らないころに合宿や大会に来て、選手を名前で応援してくれていた。いまでこそ、オリンピック・パラリンピックとワンフレーズでいう人が増えましたが、橋本さんはもっと前からパラリンピックにも目を向けてくれていた方です」。

就任していきなり、コロナ禍での海外観客問題に直面している橋本会長だが、今後は開催の可否でも大きな決断をしなければならなくなる。ただ、中止、開催にかかわらず、せっかく始まったスポーツを通した共生教育を継続することが、橋本会長が未来に残す仕事でもある。

前会長だけではなく、公的立場の人たちの差別発言がこのところ問題になっている。『I’mPOSSIBLE』が子どもたちに浸透して、周りの大人も影響され、子どもたちが大きくなって少しでも差別が減っていけば、東京オリンピック・パラリンピックの大きなレガシー(遺産)になる。

まずは全国の学校で、教材を見つけ出してみてはどうだろう。オンライン教員研修を見る限り、使いたい先生はたくさんいるようだ。見つからなければ、上記サイトからダウンロードもできる。春休み中のオンライン研修も『I’mPOSSIBLE』日本版公式サイトで募集中だ。共生社会実現の基礎を学校から広めたい。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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