根深い差別の撲滅に「パラ五輪教育」が最適な訳

金メダリストが教員研修で伝えていること

今回は、専門の講師がいなくてもパラリンピック教育が行えるよう、カナダ在住のマセソン美季さんが「パラリンピック教育の意義や、教材の使い方の基礎」を全国の教員に向けて発信した。場所を選ばず参加できるオンライン研修ならではで、20人ほどが受講した。

「不可能(Impossible)だと思えたことも、考え方を変えたり、少し工夫したりすればできるようになる(I’m possible=造語)」が教材の命名の由来。パラリンピックを題材に「共生社会への気づき」を子どもたちに促すための教材だ。日本版には小学生、中学性、高校生それぞれに向けたものがある。東京2020教育プログラム特設サイトから見られる。

I’mPOSSIBLE日本版事務局(公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会/日本財団パラリンピックサポートセンター)では、教材一式を全国すべての小中高校に送っているが、まだまだ十分活用されているとはいえず、届いても誰も手をつけずにいたり、どこにあるかわからなかったりということもあるそうだ。

オンライン研修に参加した教員からそんな声も聞かれた。興味がある先生の手元に届かず、学校内で「迷子」になっていることも多いのだろう。使い方がわかれば、すぐにでも授業に取り入れられるようになっている。

3つのステップで構成されている

日本版を簡単に紹介すると、パラリンピックを題材に、3つのステップで構成されている。

  • ステップ1「パラリンピックの基礎知識・魅力を学ぶ」
  • ステップ2「パラリンピックの価値を学ぶ」
  • ステップ3「パラリンピックを題材に共生社会を考える」

その中で「『できない』を『できる』にする工夫」「公平について考える」「生活の中でのバリアを探して解決方法を考える」など、パラリンピックの競技やパラリンピアンの日常などの具体例を見ながら、小中高生それぞれのレベルに合わせて「考える」ことを主体にしている。研修では、車いすの友達がいる場合に運動会の玉入れをどういうルールにすればみんなで楽しめるか、などの課題を先生たちが考える時間もあった。

座学のほかに、ゴールボールやボッチャといった、障がいのあるなしに関わらずできるスポーツを体験する実技の授業もある。教員研修は、2017年に対面式でスタート。コロナ禍となった2020年にはオンライン版の研修プログラムをつくり、合わせて2020年末までに全国の教員約1万人が受講している。

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