世界の舞台で自分の考えを話せるかどうか

三井物産・槍田会長×ライフネット生命・出口会長(2)

 世の中には、論理的思考やMBAに関するビジネス本があふれている。そうした知識も重要だが、文学、哲学、歴史といった「教養」を抜きにしては、真の一流になることはできない。また、世界を舞台にビジネスをする上でも、「教養」は不可欠になる。そこで、ビジネス界きっての教養人として、経営の最前線で活躍する三井物産の槍田松瑩会長とライフネット生命の出口治明会長兼CEOに、一流の仕事人に必要とされる「教養」について、語ってもらった。
●その1:今の日本人は、本当に教養がないのか? はこちら

大学院教育の再考が必要

――日本には独自の教養観があり、海外とばかり比較するのはよくないと思いますが、海外の経営者やエリートビジネスパーソンと比べた場合、日本人のビジネスパーソンの教養は劣っていると思いますか。たとえば出口さんはロンドンに駐在していた頃、現地のエリートビジネスパーソンたちの歴史などに関する教養の深さに驚いたと本に書いていましたが。

出口:驚きましたけれど、これも後でよく考えてみると、システムの違いによるところが大きいですね。僕は当時、日本生命のロンドンの代表でしたので、外国の銀行とか保険会社のトップに会う機会が多かったんですよ。

そのときに名刺交換して気づいたのですが、ほとんどの人がドクターとかマスターなんですね。ドクターを持っているということは、日本でいえば4年か5年は余計に勉強しているわけです。5年多く勉強したら、そのぶん賢くなるのは当たり前です。だから最初は向こうの人はすごいなと思ったけれど、でもそれはシステムの差だとわかった。旧制高校と新制大学を比較しているようなものです。

でも現実に海外では、修士課程や博士課程を修了することが幹部登用のデファクトになっています。もう退職しましたが国連の前の前の次長が僕のクラスメートで、彼の話によれば、国連では日本が拠出している分担金に比べて日本人の幹部職員が少ないけれど、それは日本人には大学院に行く人が少ないからだそうです。日本にも優秀な人はいっぱいいるけれど、幹部になるための資格要件が、ドクター、マスターであるので、上に行けないんだということでした。

槍田:まったくそのとおりです。とにかくマスター、ドクターでないと採用してもらえない。たとえ有名大学を優秀な成績で卒業していても、修士でも博士でもないと、「単なる学士じゃないか」と弾かれてしまうらしいですね。

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