STAP騒動…日本の科学はダメなのか? 田原総一朗×丸幸弘「日本の科学と教育を変えよ」
※前編記事:田原さん、「科学」で稼いでもいいですか?はこちら
勉強と学問は異なるもの
田原:丸さんはご著書の中で「勉強と学問は違う」ということを強調されていますね。
丸:学問は「問い」を立てるところからスタートします。勉強はそれがないから楽だとも言えますし、苦しいとも言えます。僕自身も学生時代そうだったのですが、環境問題に取り組みたかったのに、指導教官から「藻の糖脂質の研究をしなさい」と言われて、反発を覚えたこともありました。なぜそんな「勉強」をしなくちゃいけないのかと。でも、そうやって勉強を続けていると、あるときふとそこから自分なりの「問い」が見つかることがある。
でも、多くの人が「学問」にたどり着く前に大人になり社会に出てしまう。勉強と学問は両輪であるべきなのに、今の学校教育にはその要素が入っていない。これは問題だと思っています。
田原:僕も日本の教育は間違っていると思う。小学校から高校まで「正解のある問題」の解き方しかしか教えていない。それを繰り返すばかりでは、子どもたちが自らクエスチョンを生み出したり、問いにたどり着くことはない。疑問を基にしたディスカッションも行われない。だから丸さんが重視している情熱=パッションも湧き上がってこない。
一時、ブームになったハーバード白熱教室は正解のない問題をぶつけ、議論することが中心だった。議論するから物を考える力がつき、コミュニケーション能力も身に付いていく。日本の教育にはまるでそういう要素がない。なぜこんなことになったんでしょう?
丸:理由はわかりません。僕はリバネスの活動を通じて、少しずつ学校教育を変えようとしていますが、もっと根本の部分をガラッと変えないとヤバイと思います。