仮にMMTが正しくても「特効薬にはならない」訳 積極財政による日本経済再生の可能性と限界
彼らの考えの背景には、「日本経済が成長していない原因は、需要が足りないことにつきる」という思想があるような印象を受けます。この考え方には、どこまでの説明能力があるのでしょうか。日本経済の低迷の原因は、どこまで政府部門に依存しているのでしょうか。
日本の政府支出は、むしろ多いほうだ
冒頭のコメントのように、日本のデフレを問題視している人は、緊縮財政をやり玉に挙げる傾向が強いようです。緊縮財政とは、政府支出を減らすこと、もしくは税金を増やすこと、あるいはその両方です。いまの日本は、緊縮財政をとっていると言えるのか、確認していきましょう。
日本の政府支出の水準は、高所得の国の中でも高いほうです。世界銀行によると、高所得の国のGDPに対する政府支出が平均17.8%だったのに対して、日本は19.8%でした(2018年)。世界全体で見ると、政府支出はGDPの16.9%(2019年)でした。日本の政府支出の水準は低いわけではないのです。長期で見ても、政府支出は歴史的な高水準で高止まっています。
おそらく、問題視されているのは、2009年以降、日本のGDPに対する政府支出が横ばいに推移しているのに対し、GDPに対する税負担が1.4倍も増えていることだと思います。いまの日本の税負担は、バブル期の水準まではいかないものの、歴史的に高い水準にあります。これは明らかに、個人消費に悪影響を及ぼします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら