仮にMMTが正しくても「特効薬にはならない」訳

積極財政による日本経済再生の可能性と限界

しかも、社会保障料の増加を計算に入れると、個人消費に対する悪影響はもっと大きく膨らみます。GDPに対する個人と企業の社会保障料負担は、1994年の9.3%から次第に増えて、2018年では13.0%になっています。

しかしこれも、国際比較してみるとグッと印象が変わります。じつは日本の場合、政府支出の水準は高いほうですが、税負担は著しく低い水準なのです。世界銀行の2018年のデータによると、GDPに対する税負担の割合は、高所得国の平均で14.6%でした。一方、日本は11.9%にすぎないのです。

ただ、特に安倍政権になってから、政府の支出の増加は抑えられているのに対して、税負担が2.96パーセンテージポイントも大きくなっています。これは個人消費に悪影響を及ぼすので、経済全体に悪影響を及ぼしているという理屈は成立します。この理屈の下、税の負担を減らすか、支出を増やすべきという主張がなされているのでしょう。

特に日本では、減税より政府支出増加の効果が大きい

理論的には、日本が政府支出を増やした際の経済へのプラス効果は、他の先進国より大きいと考えられます。

なぜならば、GDPに対する税負担の比率が低く、貯蓄性向が低く、GDPに対する輸入率が低い国ほど、政府支出が経済に与える効果が大きくなるからです。事実、日本は主要先進国の中で、輸入の比率と税の負担率が非常に低く、貯蓄性向率も低いほうなので、政府支出の効果は大きいとされています。

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