気仙沼「この10年」生き抜いてきた人々の大奮闘 地域商売の正念場、好機と逸機にどう向かうか

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「鶴亀食堂」「鶴亀の湯」の前に立つ小野寺紀子氏(中央)、両端の女性2人は移住者だ(筆者撮影)

震災から10年とはいえ、日々の生活はこれからも続く。海産物の製造・販売を行う、株式会社大菊(だいきく)の吉田晶子氏(代表取締役副社長)はこの10年をこう振り返る。

「商売の視点でいえば、震災後は取り巻く環境の『好機』と『逸機』が次々に起こり、なかなか見通しが立たないですね。その中で何ができるかを考え、取り組んでいます」

気仙沼港に面した施設内の 『大菊 海の市店』(当時)が津波で全壊した同社にとって好機と逸機とは、次のような出来事だという。

「好機」=高速道路の無料化。三陸道の開通。気仙沼大島大橋の開通。気仙沼湾横断橋の開通(2021年3月6日)。「GoToトラベル」キャンペーン。海の市でのイベントを企画・出演。復興事業に来られた方々の移住や支援。NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(2021年5月17日~放送予定)。

「逸機」=新型コロナウイルスによる外出自粛。コロナ禍の休業や営業時間短縮。相次ぐ地震。豪雨による水害。観光誘致が不十分。人口減少が加速化。復興事業の終了。

「修羅場」を経験した人たちの奮闘に期待

「昨年の『GoToトラベル』キャンペーン時期はお客さんも増えたけど、今は緊急事態宣言による外出自粛の影響を受けて、少ない」と話す吉田氏。当地に共通する思いだろう。

コロナ禍が1年続き、筆者は「すれすれで助かる」「何とか生き残る」が大切だと思うようになった。気仙沼の商売も「正念場」を迎えているが、震災や津波という「修羅場」を経験した人たちが、持ち前のバイタリティで乗り越えると信じている。

「大菊」には気仙沼らしい商品が並ぶ(写真:大菊)
高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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