生活習慣病の兆候は「胎児期」に出ている衝撃

人生の過ごし方で体内時計がずれることも

胎児期の体内時計形成の在り方は、健康に大きな影響を及ぼすことになります(写真:Mai /PIXTA)
さまざまな生活習慣病は実は胎児のときから兆候が見えている、と小児神経科医の三池輝久氏は言います。いったい何が起きているのでしょうか。三池氏が上梓した『赤ちゃんと体内時計』を一部抜粋・再構成してお届けします。

胎児期に基礎が作られ乳児期の終わりにほぼ完成する体内時計は、生涯にわたってヒトの健康に影響力をもつといわれています。

すでに世界各国の研究者たちの目は、概日リズム(おおむね「1日=24時間」を刻む身体のリズム)形成の原点である超日リズム(数10分から数時間単位(20時間まで)繰り返されるリズム)形成へと向けられています。

胎児期における体内時計形成のあり方が将来の概日リズム形成に影響する可能性はいくつも報告されています。このことは、胎児期の健康状態が母親の生活と無関係ではないこと、つまりこれから述べる将来のさまざまな生活習慣病をはじめとするライフステージにおける健康被害の原点は、胎児期にあるといわざるをえないでしょう(Gluckman PD, 2004)。

生活習慣病としての発達障害、引きこもり(図:本書引用)

上記図に書いた複数の疾患群がなぜ生活習慣病といえるのか、私の考えをまとめておきたいと思います。

重症化してしまうと修復が困難に

生後、2〜4時間ごとの超日リズムによる睡眠・覚醒リズムで1日を過ごしていた赤ちゃんは、新生児期が終わると、かなり速いスピードで、夜は睡眠、日中は覚醒・活動という、概日リズム体内時計の形成を進めます。その際、胎児期に作られた各臓器に独立して存在する概日リズムをもつ末梢時計系群を統合する中枢時計が、脳の視交叉上核に形成されていきます。

このとき統合される概日リズムは、新生児期の超日リズムを基盤としていますが、もとはといえば、超日リズムも、全身の細胞・臓器の概日リズムも、体内ですでに作られたものです。当然、母体の影響を強く受けます。赤ちゃんは、胎児期に母親とともに作った自分の固有の超日リズムと、各臓器に散在する概日リズムをもって生まれてくるのです。

そして生後は、実際の日常生活の夜(暗)と昼(明)のリズムを経験することで、概日リズムを1つにまとめる中枢時計を作り上げていきます。その完成時期は1〜2歳ごろまでです。このあと、概日リズム中枢時計は次第に固定していくわけですが、硬く固定されるわけではなく少し柔軟性を残しています。

ですから、その後の人生での過ごし方が、体内時計をずらしてしまうこともあれば、あるいはずれた体内時計を修復することもできるのです。ただ、ずらすのも、修復するのも、それ相応の時間を要します。注意すべきは、ずれや混乱は、重症化すると修復が困難になることもある、という点です。

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