では、店のシステムを紹介しよう。店内へ入ると、冷蔵のショーケースに干物が並んでいる。干物は常時10種類程度用意されていて、価格は300円から1050円くらい。その中から好きなものを備え付けられたトングで取り、カウンターにいるスタッフに渡す。
次にカウンターに並ぶおばんざいを選ぶ。おばんざいは日によって5〜10種類前後が並び、1個を選んだ場合は干物の価格にプラス350円。2個はプラス500円。3個はプラス600円。定食セットにはご飯と味噌汁、漬物も付く。なお、干物はテイクアウトも可能だ。干物を肴にお酒が飲みたい場合は、「晩酌セット」も用意している。生ビールまたはハイボール、日本酒の中から1杯とおばんざい3品が付いて干物の価格にプラス600円。
厳選した干物は圧巻のおいしさ!
堺さんおすすめの干物は、「とろさば伴助」(750円)。前出の三重県志摩市のカネ角商店から仕入れたものだが、見せてもらってその大きさに驚いた。あまりにも大きいので、半身にしてあるが、それでも十分食べ応えがある。
箸を入れてみると、脂がジュワッとあふれ出した。たっぷりの脂をまとった身はふんわりとしている。口の中に入れると脂が溶け出すとともに濃厚な旨みが広がる。脂はしつこさがまったくなく、本マグロのトロのように上品で繊細な味わい。こんなにも見事なさばの干物は食べたことがない。
また、おばんざいも素朴な味わいで気分がほっこりする。繊細な味付けは割烹料理店で食べるのとまったく遜色がない。「世界の山ちゃん」の名物「幻の手羽先」のパンチのある味とは対極的である。
「おばんざいにも相当力を入れています。例えば、『野菜の炊き合わせ』は、大根や人参、里芋、干し椎茸、絹さやをそれぞれ別々にかつおだしで炊いています。あっ、こちらの干物も私のおすすめです。ぜひ、食べてみてください」と、堺さんが持ってきたのは、静岡県沼津市のヤマカ水産から仕入れた「正子さんのさば醤油干し」(950円)。漁師の家で生まれ育ち、そして漁師に嫁いだ正子さんが日常的に食べている漁師町の味を再現した干物だとか。
「醤油も静岡県産にこだわり、富士山麓に湧く銀名水を仕込み水として使っている御殿場市の天野醤油に三温糖で甘みを加えたものを使用しています。もちろん、着色料や保存料は一切使っていません」(堺さん)
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