そして今回、鈴木さんは、繰り返し「私はどんな状況も、明るく、楽しみながら生きたい」と、生き方の話をしてくれた。その言葉が余韻となって、ずっと心に残っている。
予測したくはない「第4波」の可能性も考える
今も必死にコロナクラスターの現場で働く鈴木さんだからこそ、国や県に「もっとこうしてほしい」という希望があった。
「感染対策の設備が整っていない病院で『コロナ陽性者の対応』をする……。これ自体がコロナクラスターに繋がる可能性が高い行為であると、第1波の時点で、国の偉い人は認識しておくべきでした。これまで全国で起きたコロナクラスターの原因をしっかり分析できていれば、うちのような『感染症対策のない病院の、効果的なコロナ対策』もスピーディに確立できたのではないか。そう思ってしまうのです」
「また、ここだけの話ですが、院内がこんな状態になっているにもかかわらず、病院の外来は普通にやっていて、新規入院も受けて入れています。経営は大切ですが、これ以上感染者数が増え続けたら、お金よりも大事なものがどんどん失われていく気がしています」
鈴木さんたち看護師は、命を守る場所である病院で、「患者さんを守ること」に全身全霊をかけている。関わりのある患者さんに何かあれば、たとえ他人だとしても「心に大きな傷」を受けるという。その必死な人たちの努力が無駄になるようなことは絶対にあってはならない。
コロナはまだ収束していない。医療現場はまだまだ緊迫のなかにいる。
首都圏(1都3県)の緊急事態宣言が3月8日で解除になっても、ワクチン接種が進んでも、まだ油断はできない。予測したくはない「第4波」の可能性も視野に入れておくのが賢明であろう。コロナと戦う1人の看護師の取材を通じて、「中小規模の病院に特化した、絶対的な感染対策ガイドライン」制定など、医療従事者が安心して働ける環境作りと支援が求められることが見えてきた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら