2月だけで2ケタのコロナ死に面した彼女の告白 今も看護師たちは抜き差しならない状況にある

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「気管支切開して呼吸器をつけている方、状態が悪い方がたくさんいます。寝たきりで痰を詰まらせてしまう方も多く、自分で『苦しい』と言うこともできない患者さんもいるんです。私が休憩している間に窒息してしまう可能性も考えられ、休憩はとれる状況ではありませんでした」

「検温するだけで手いっぱい。熱が高ければ解熱剤を投与すべきなのにできない。酸素量に応じて酸素投入量を増やすだけで、マスクの種類を変えたいのにできない。ただ自分が動きを止めたら患者が危ないと思い、『患者さんが死んじゃうよ!』と心のなかで焦りながら、深夜の対応に追われていました」

17時に勤務を開始してから朝の9時終業まで休憩はなく、常に動きっぱなしだった。

鈴木さんの夜勤が明け、次の日の深夜、同じ病棟にいた患者の具合が悪くなり「急変で亡くなった」と聞いた。その日担当していた看護師は半泣きになり「もう何が悲しいのかがわからない」と鈴木さんに訴えた。

感染対策用の「物資の不足」にも苦しんだ

コロナクラスターの渦中でも、物資も十分な量がなかった。コロナ陽性者のレッドゾーンを担当するときも、鈴木さんが身につけている防護服には「医療品外」と書いてある。丈が合わないので腕や足は保護できていない状態。専用の「N95マスク」は通常空気が入らないようにフィットさせる。しかし数が足りないので、大きさが合わないマスクを着用。当然、汚染区域の空気がスカスカと入る。看護師はコロナ陽性者の咳や痰を吸い出す処置を頻繁に行うが、毎回飛沫が飛び散るので、感染を考えると非常に危険だった。

「これでは感染を回避できるわけがない」と同僚が「このままでは感染が広がるし、患者さんの命が守れない」と訴えても、上司から返ってきた言葉は、「この状況なんだから仕方ないよね」だったという。

「この状況なんだから仕方ない」で済まされてしまう現場、現状。鈴木さんは「自分の感染や命も辞さない覚悟、もう頭で考えていては勤まらない」と感じた。

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