「カウンタックとボーラ」の似て非なる盛衰 半世紀前に生まれた2台のスーパーカーの雄

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時計の針を50年前の1971年に戻してみるなら、そこには無限大に広がる自動車の未来があった。クルマを持つことで自由に好きなところへ移動できる。カッコいいクルマを持てば、ライバルのあいつを差し置いて彼女をデートに誘える……。

そんな夢のあった時代に、自動車のバラ色の未来をジウジアーロ、ガンディーニという2人の天才デザイナーが描いた。その究極の存在がこの2台だ。

両モデルとも、イタリア産の大排気量2シーター・ミッドマウントエンジン・スポーツカーで、そのスタイリングは低く幅広く、リトラクタブル・ヘッドライトを採用しているという共通項を持つ。

クルマとしての成り立ちはまったく異なる

しかし、カウンタックの12気筒に対してボーラは8気筒、鋼管フレーム構造に対してモノコックボディ、コンベンショナルな油圧ブレーキシステムに対してシトロエンのLHMシステム、またシザーズドアに対してコンベンショナルな開閉のドア……。

このように細かく見ていくなら、それぞれ異なったソリューションが採用されている。それぞれのカテゴリー内で、似通った設計となっている現在とは対比的だ。

カウンタックは、ランボルギーニの名前を世界に知らしめた「ミウラ」の後継モデルとして誕生した。最も大きな特徴は、縦置きのエンジンを前後逆にレイアウトするというチーフエンジニアのパオロ・スタンツァーニの発案による、革新的な手法だ。

「カウンタック」のレイアウト透視図(写真:ランボルギーニ)

これは巨大かつ長いV型12気筒エンジンを横置きにした、ミウラにおいて生じた数々の問題点を解決するために生み出されたものだ。このレイアウトは大排気量モデルでありながらも、短いホイールベースによって卓越したコーナーリング性能を発揮するというカウンタックのユニークなポジションをも作り上げた。

さらに、上方へ向けて開くシザーズドアの採用もインパクトがあった。これは視覚的にもカウンタックのユニークさを強調する要素となったが、決してギミックから生まれたモノではなかった。

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